「データを生かす力」は既に「現場力」の1つ、コニカミノルタのモノづくり革新インターネプコン ジャパン2020(2/2 ページ)

» 2020年03月26日 11時00分 公開
[長町基MONOist]
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「データを生かす力」も「現場力」の1つ

 IoT技術の急速な進展により、製造業は大きな変革期にある。従来のデータ活用は点在する限られた範囲のものだった。現在はデータ活用範囲の拡大し、さらに効率化が進んでいる。「これが次の革新的なモノづくりにつながってくる。人のスキルとオペレーション力、コミュニケーション力などに加え、データを生かす力も現場力の1つに今後はなってくる」と竹本氏は語っている。IoT技術を活用できる領域が広がることは予想されているが、これに想像力の高い人材が加わることでさらに人間の能力を伸ばす領域が拡大していくチャンスであると期待する。

 これらを実現した姿が「デジタルマニュファクチャリング」だ。これは、あらゆるデータを収集し、その分析や活用範囲を広げることで今までにないワークフローへと改革し、新たな価値創造により客のQCDEF(品質、コスト、納期、環境、財務)向上を実現していくものだ。地域、企業、ECM(Engineering Chain Management)、SCM(Supply Chain Management)の領域を超え、従来以上に幅広いデータ連携を進める。「単一拠点だけではなく、他の生産拠点との連動も必要であり、これらを一元的に把握できるような仕組みをコックピットと称している」(竹本氏)。

 コックピット導入の目的は、現場データを自動で収集し、定型的な管理指標の可視化と損益影響を簡単に把握できるようにすることだ。これにより判断のスピードアップを図る。また、継続的に管理をすることで数字に基づく共通理解を推進するという点もポイントだ。「進化のためにすべきことを工場全体で常に考えられるようにすることがスマート化のポイントである」(竹本氏)。

 また、コックピット設計時のポイントとして、現場力を確実に利益につなげるために「現場活動と経営数字のひも付けが重要だ」と竹本氏は語る。同社のマレーシア工場での事例をみると、経営指標を頂点に各現場の実力が継続的に測定できる指標を作り、それをコックピット化しそれぞれの現場でモニタリングできるようにしている。

 一方、生産現場のありたい姿を実現する手段として位置付ける「データサイエンス」については、2019年1〜3月から取り組みを開始した。推進リーダー、分析の専門家、現場実践メンバーが三位一体となり活動を推進する。生産のあらゆる業務領域でテーマを掲げ、進め方を探っているいるところだという。

 竹本氏は「一番大事なことはデータが蓄積されても、そのデータをどう活用するか考え、効果を生み出すことだ。AIが進化しても、どんなデータを取るべきか、その結果をどう解釈するかは人が決定を下すことが重要となる。そのため、現在もこれからも現場力を高めるには人づくりがベースとなる」とポイントについて強調した。

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