クラボウは、新型コロナウイルス感染の有無を目視かつ15分で行える「新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)抗体検査試薬キット」の国内販売を2020年3月16日に開始する。10検体分の試験が可能な1キット当たりの価格(税別)は2万5000円。
クラボウは2020年3月12日、新型コロナウイルス感染の有無を目視かつ15分で行える「新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)抗体検査試薬キット」の国内販売を同年3月16日に開始すると発表した。10検体分の試験が可能な1キット当たりの価格(税別)は2万5000円。
同キットは、10μlと少量の血清(もしくは血漿、全血)をピペッターで専用のテストストリップに添加した後、検体希釈液(専用試薬)を滴下することにより15分で新型コロナウイルス感染の有無を目視で簡単に判定できる。これにより、少量の血液を用いた簡便な操作で、迅速な検査が可能になるという。また、特殊な装置や専門知識が不要であり、現在新型コロナウイルス感染の検査に用いられているPCR法の遺伝子検査と比べて、時間、コスト、作業スペースの削減など検査の大幅な効率化が図れるとしている。
検査キットは2種類ある。1つは感染の初期段階で生成される抗体「IgM」用で、もう1つは感染後長期間にわたり最も多く生成される抗体「IgG」用だ。これらを併用することで、より精度の高い検査が可能になる。なお、いずれのキットも体外診断用医薬品ではなく、新型コロナウイルスの抗体の有無を見るための研究用試薬キットとしての使用に限定されるとしている。
キットの構成は、テストストリップ10本、専用ピペッター10本、検体希釈液(専用試薬)1本、取扱説明書1冊。
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受け、現在国内では、遺伝子を増幅させる PCR法による検査が一般的に行われている。この検査手法は、結果が出るまでに時間を要し、患者の適切な処置の遅れにつながる危険性があるという指摘もある。ワクチンなどの研究開発に向けても、簡便で迅速な検査方法のニーズは高まっている。
クラボウの環境メカトロニクス事業部バイオメディカル部は、これまで食品中の成分や食中毒菌などのDNAを短時間で判定できる試薬キットの開発・販売を手掛けている。今回国内発売する新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)抗体検査試薬キットは、同社の中国の提携先企業が、抗原抗体反応を利用した迅速検査の手法の一つである「イムノクロマト法」の原理に基づいて開発したものだ。なお、中国は2020年3月4日、イムノクロマト法の原理に基づく検査を標準診断法の一つとして診療ガイドラインに採用している。
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