NTTドコモは5GやAI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)など先端技術を活用したサービス、ソリューションの展示会「DOCOMO Open House 2020」を開催した。
NTTドコモは2020年1月23〜24日の2日間、5GやAI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)などの先端技術を活用したサービス、ソリューションの展示会「DOCOMO Open House 2020」を東京ビッグサイトで開催した。未来の製造業における5G活用の可能性を考える上で、ヒントを与えてくれそうな展示物がいくつもあった。本記事では、筆者が注目した展示内容を順番に紹介する。
産業領域をテーマとする展示エリア「5G Business Zone」には、ロボットと5G技術を組み合わせた展示が複数出展されていた。その1つが、「産業用ロボットの柵外教示に関する研究展示」だ。5Gを使ったワイヤレス環境を整備することで、安全柵外からロボットの動きを確認しつつ、動作プログラミング作業(教示作業)を行えるようにした。コラボレーションパートナーとして、ファナックが産業ロボット技術、日立製作所が映像支援システム技術の面で、それぞれ技術協力を行っている。
ロボット周辺に設置した高解像度カメラでロボットの挙動を撮影し、映像を作業者の手元のモニターに転送する。iPadなどのタブレット端末を介して、ロボットの教示操作やシステム操作などを行う「iPendant」(ファナック製)をリモートで操作することも可能だ。「無線は有線に比べてデータ転送に遅延が生じやすい。その遅れが操作結果にわずかなずれを生み、大問題に発展するリスクがあるため、リモートでのロボット操作は実現が難しいといわれていた。しかし、低遅延を特徴とする5Gを使えば、現場で直接操作しているかのような操作感を実現できるため、こうした課題はクリアできる」(説明員)。
ただ、説明員によると「通常、教示作業時にはロボットのすぐ近くに非常停止ボタンを設置する必要があり、作業者もその周辺にいなければならないと安全基準が定められている。そのため技術的にはリモート操作が可能になっても、すぐに現場に導入できるわけではない」という。
この他、5Gを活用したロボットとしては、オムロンの「自動搬送モバイルロボット LDシリーズ」が展示されていた。同社は、生産ラインのレイアウト変更が柔軟に行える「レイアウトフリー生産ライン」を実現する上で、5Gが大きな役割を果たすとして注目し、有用性を検証するための実証実験を進めている。
自動搬送ロボットに5Gを対応させるメリットについて、説明員は「工場内では人やモノが頻繁に動く上、機器が発するノイズが多く、Wi-Fiなど既存の無線通信技術では通信が安定しない。一方、5Gを使えば大容量かつ低遅延の通信が可能となる。複数台の自動搬送ロボットを同時にコントロールサーバに接続し、動かすことも可能だ」と語った。
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