では転職先を選ぶ上で、福利厚生についてどのような観点で考えていけばよいだろうか。「まず自分の価値観に合っているかどうかが重要になる」と関寺氏。例えば「給与が高い企業」か「福利厚生がとても充実している企業」か、という選択もあり得るわけだ。プライベートな時間を大事にしたいなら、給与が多少低くても、自分が希望するような時間の使い方をサポートしてくれる方がいいという判断もあるだろう。住宅手当や家族手当などは給与には含まれないため、所得税を節約できるという考え方もできる。
また福利厚生には、その会社のカラーや考え方が反映されているという側面もある。例えば、男性も含めた子育てや家族に関する福利厚生が充実している会社は、本人も家族も長期的にサポートしたいと考えているだろうし、女性に対して手厚くサポートしているならば、女性の活躍に期待しているはずだ。研修などへの補助がある会社ならば、自主的な学習やスキルアップを奨励していると考えられるし、オープンに働ける仕組みを積極的に取り入れている企業は、オープンな風土と考えていいだろう。
加えて関寺氏は「自分の価値観に合う福利厚生があることだけではなく、運用状況も重要なポイント」と指摘する。魅力的な仕組みがあったとしても、実際にはあまり利用されていないならば、社員のニーズに合っていない可能性があるし、使いたくても使いにくい状況があるのかもしれないからだ。
福利厚生は、就業時間外も含めた、その会社での働きやすさを左右する要素。仕事内容はもちろんだが、自分には何が重要なのかをよく考えた上で、福利厚生の内容をチェックした方が良さそうだ。「提携しているスポーツジムに週3回通いたい」、「子育てにしっかり参加したいので、男性の育児休業を活用したい」など、転職後の仕事と生活のイメージを描き、面接などの機会に、どの程度利用されているのか、利用に際して周りの雰囲気はどうかなど、気になることは質問してみることをお勧めする。
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