トヨタ自動車が2020年1月1日付で実施する組織改正と人事異動を発表。組織改正では、幹部職の1つである領域長を「統括部長」と「フェロー」に見直すこととした。これにより、執行役員以上のトップ経営陣と、実務を担当する現場との間の階層をさらに減らして、実行力のさらなる強化とスピードアップを推し進めるとしている。
トヨタ自動車は2019年12月4日、2020年1月1日付で実施する組織改正と人事異動を発表した。組織改正では、幹部職の1つである領域長を「統括部長」と「フェロー」に見直すこととした。これにより、執行役員以上のトップ経営陣と、実務を担当する現場との間の階層をさらに減らして、実行力のさらなる強化とスピードアップを推し進めるとしている。
同社はこれまでにも、ビジネスユニットの設置や地域本部の再編、カンパニー制の導入など、それぞれのビジネスや地域ごとに、現場に近いリーダーが即断即決で必要な施策を実行できる体制づくりを進めてきた。2019年1月には、経営のスピードアップに加え、現場に根差した専門性と人間性を兼ね備えたプロ人材の育成を狙いに、専務役員と常務役員、常務理事などの役職を廃して、専務役員を「執行役員」、常務役員、常務理事、基幹職1級・2級、技範級を「幹部職」とする、会社組織の階層数を削減するための役員体制変更と組織改正を実施している。
今回見直しの対象となった領域長は幹部職の1つで、2019年1月の組織改正で各カンパニー内に設けられた「領域」を統括する役職だった。多くの領域長が、担当領域の統括部長に就任する人事となっている一方で、これまで3人だったフェローは6人に増える。この6人には、フェローからエグゼクティブフェローとなるTRI(Toyota Research Institute) CEOのギル・プラット氏、新たにシニアフェローとなるTRI-AD(Toyota Research Institute - Advanced Development) CEOのジェームス・カフナー氏が含まれている。
新任の執行役員は3人。Mid-size Vehicleカンパニー エグゼクティブバイスプレジデントの中嶋裕樹氏とLexus International エグゼクティブバイスプレジデントの佐藤恒治氏は、各カンパニーのプレジデントへの昇任と合わせて執行役員となった。先進技術開発カンパニー プレジデントの奥地弘章氏も執行役員に就任している。
また、今回の人事異動では、副社長の寺師茂樹氏と友山茂樹氏が、これまで務めてきたカンパニーのチェアマンを離れており、各カンパニーのトップがプレジデントに一本化されている。ただし、新興国小型車カンパニーのみ、ダイハツ工業 会長の松林淳氏がプレジデントに就任するのに併せて、トヨタ自動車 副社長でダイハツ工業の非常勤取締役を務める吉田守孝氏がチェアマンとなっている。
新設の本部組織としては、吉田氏がセンター長を務める「モノづくり開発センター」がある。同センターは、各カンパニーの試作と量産の生産技術を融合し、クルマ開発のスピードアップを目指すとともに、社内のモノづくり技術を結集することで、新たなシナジーを産む体制をつくるとしている。また、「もっといいクルマづくり」に向けて、従来の枠に捉われないさまざまな生産技術・技能を経験できる環境をつくり、モノづくりプロ人材の育成の強化も狙う。
領域組織としては、クルマ開発センター傘下のデジタル開発領域、Mid-size VehicleカンパニーのMSZデザイン領域を新設する。
なお、組織数(部組織)は、改正前の245部から改正後に242部となる。
今回の体制変更について、トヨタ自動車 社長の豊田章男氏は「CASE(コネクテッド、自動運転、シェアード、電動化)革命によって、これからのクルマは情報によってあらゆるモノ・サービスとつながり、社会システムの一部になっていく。これからはアライアンスの時代であり、『仲間づくり』が重要になる。まずは、トヨタで働く一人一人が『この人と一緒に仕事をしたい』と思われる人間にならなければならない。仲間から『選ばれるトヨタ』になるために、人事制度の見直しも含め、専門能力と人間力を身につけた人材の育成に取り組んでいく」と述べている。
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