キヤノンは、同社が製品展開しているネットワークカメラや画像処理技術と、自社で培う製造技術などを組み合わせ、2018年から製造現場(FA)向けの画像ソリューションに力を入れる。製品やソリューションの拡充を進める一方、シーメンスやユニバーサルロボットなどのパートナーを増やし、具体的な用途の開拓に取り組んでいる。その戦略を聞いた。
キヤノンは、同社が製品展開しているネットワークカメラや画像処理技術と、自社で培う製造技術などを組み合わせ、2018年から製造現場(FA)向けの画像ソリューションに力を入れる。製品やソリューションの拡充を進める一方、シーメンスやユニバーサルロボットなどのパートナーを増やし、具体的な用途の開拓に取り組んでいる。
ネットワークカメラのFA領域への展開にどのような勝算を描き、現状ではどのような成果を得られているのだろうか。キヤノン 理事でイメージングソリューション事業本部 副事業本部長の枝窪弘雄氏と、キヤノン イメージソリューション事業本部 イメージソリューション第二統括部門 イメージソリューション22事業推進センター 産業用システム事業統括担当 上席の岡田義人氏に、現状の成果と今後の展望について話を聞いた。
キヤノンが製造現場向けのネットワークカメラの展開を開始したのは2018年からだ。それ以前から、生産ライン内や検査工程などで用いるカメラレンズやマシンビジョンシステムなどの展開は進めてきた(※)が、これらの用途に加えてネットワークカメラの自由度による製造現場の働き方の抜本的な改善を提案する。
(※)関連記事:キヤノンが狙う“産業の目”、カメラや事務機で培った技術力を製造ラインへ
枝窪氏は「ネットワークカメラ事業における新規事業を模索する中で、キヤノンが工場で培ったモノづくりの強さを組み合わせることで、新たな価値が生み出せるのではないかと考えた。もともとカメラレンズやマシンビジョンなどは製造現場で使われていたが、ネットワークカメラでは人間が行っていた検品や確認などの作業を代替することができる」と狙いについて語っている。
また、インダストリー4.0などスマートファクトリー化への機運が高まってきたことも大きな追い風になった。「インダストリー4.0などを含めスマートファクトリー化の動きについてはさまざまな情報収集を行ってきた。その中で『ビジョン』領域が担うべき役割は大きいと感じた。製造ライン内に組み込む形の映像活用の動きは多かったが、ライン外でネットワークカメラを活用するソリューションはそれほどなく、キヤノンの強みが発揮できると考えた」(枝窪氏)。
具体的には、ロボットと組み合わせてピック&プレースなどの作業に使うケース、生産ライン外に設置し人の動線の把握や生産ラインの異常監視を行うケース、入出荷などの検品作業を代替するバーコード読み取りなどに使うケースなどを想定し、提案を進めてきたという。「反応が大きいのはバーコードの読み取りなどの検品作業での活用だ。製造現場では入出荷作業でのバーコードリーダーでの読み取りなど、人手の作業が数多く存在する。ネットワークカメラであれば1台設置しておくだけで、入荷物についたバーコードを自動で読み取ることなどが可能。また倉庫でもバーコードを同じ面に向けておけば、それを順番に読み取らせるができ、検品の負荷を大きく低減できる」と岡田氏は強調する。その他、アナログメーターの読み取りなどでも効果を発揮するという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.