MUJINではこれらの課題の解決を目指した。認識技術や制御技術などを組み合わせ、人間が自然に行う「さまざまなものを認識し問題なくつかむことができる」という世界を実現するロボットコントローラーの開発に取り組んだ
課題を解決するのに大きなポイントとなったのが、センシング技術とデータ処理技術などを活用し「認識」と「把握」である。
まず3Dカメラを使い、同社独自のアルゴリズムを含む画像認識技術により、どこに何の商品がどういう状況で置かれているかを正確に認識する。次に画像認識した商品と、事前に登録しておいた3D CADデータの商品情報を照らし合わせ、どこにどの商品がどういう状況で置かれているかを把握する。この商品の状況に対し、事前に登録したピッキングポイント(ロボットがつかめる場所)を当てはめて商品をつかみ、指定の場所まで運ぶという。これらの判断や作業を自律的に行えるようにしたのがmujinのソリューションの特徴である。
さらに、採算面に関しては、調整時間を約3日で終えられるようにしたことから短期導入が可能となり大きく改善。メンテナンスについても、リモートメンテナンス機能を導入することで、無駄な停止時間を減らすことに取り組んだ。
MUJINがこうしたことを実現できるようになったコア技術の1つに「モーションプランニングAI」がある。この技術は「クルマの自動運転で自分の位置、ゴール、障害物が分かったときに、どうすればゴールにたどり着けるかを考える技術だ」(荒瀬氏)とする。この技術により同社はデバンニング(コンテナからの荷下ろしを自動化し、過酷な作業から人を解放する)からデパレタイジング(パレットにもカゴ台車にも対応可能。荷下ろし作業を自動化する)、ソーター投入(混載コンテナから商品を自動でソーターへ投入する)、ピースピッキング(物流センターの大部分を占めるピッキング作業を自動化)、パレタイジング(荷物を最小限の隙間で最適積み上げる。重量物にも対応)など、物流倉庫にある作業を全て自動化するソリューションを提案している。
今後は24時間稼働が可能なロボットの時間的な利点だけでなく、人間が不可能な場所でも働ける空間メリットがあることなども提案。さらにコンサルテーション活動にも力を入れ、ロボットの新たな使い方を一緒に考えていくことで用途開拓などに取り組む。荒瀬氏は「従業員1人の置き換えではなく、作業の在り方そのものを見直し、2〜3人の置き換えなどにつながるようにしたい」と語っている。
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