1950年代に入ると、荷物を積み込んだり、降ろしたりする荷役作業の自動化が進みました。
第二次世界大戦中、軍用の荷役車両として活用されたフォークリフトは、戦後、荷役資材であるパレットとともに、物流の現場に普及していきました。フォークリフトを使えば、人間には持ち上げられない大きくて重い荷物を小回りよく動かすことができます。トラックの荷台や倉庫の保管棚に荷物を載せることも簡単です。クレーンのように、荷物とフックを固定する必要もありません。
パレットの利用は、荷役作業の効率性を高めるだけではなく、「荷物を保管・輸送するときの大きさ」を規格化することにもつながりました。パレット単位で荷物を管理することが一般化したからです。地域、業界ごとに異なるとはいえ、パレット自体の大きさも標準規格が適用されるようになり、資材を共用することでの物流効率の向上も進みました。
1960年代に普及した海上コンテナも荷役作業の効率化に大きなインパクトを与えました。規格化された海上コンテナをレゴブロックのように積み上げれば済むようになったからです。港には、海上コンテナを吊り上げられる巨大なガントリークレーンが設置され、積み込みに要する時間は10分の1に、必要な人員数は5分の1に減少しました。
加えて、海上コンテナを利用すれば、トレーラーからコンテナ船への積み替えも簡便となります。欧米諸国のように、海上コンテナと鉄道コンテナが共通化している地域であれば、コンテナ船と鉄道、トレーラーを組み合わせての海陸一貫輸送も可能です。盗難や紛失のリスクも大幅に減少しました。
1970年代に入ると、大企業を中心に、物流の管理・処理業務をシステム化しようとする動きが出始めました。
WMS(Warehouse Management System:倉庫管理システム)は、倉庫内の在庫の数量を管理するためのシステムとして導入されました。在庫管理台帳の代わりだったわけです。物流会社からすれば、荷主に対して保管料金や入出荷料金を請求するためのシステムといえます。現在では、在庫の数量だけではなく、入荷から格納、ピッキング、検品、梱包までの作業の状況や荷物のロケーションまでもトータルで管理するシステムとして広く活用されるようになりました。
同時期に導入が進んだTMS(Transportation Management System:輸配送管理システム)は、トラックの配車状況を管理するシステムです。トラックの台数や配車先のみならず、輸配送した荷物の数量と輸配送先の情報を記録できます。WMSが保管料金や入出荷料金を請求するためのシステムとするなら、TMSは輸配送料金を請求するためのシステムといえます。現在では、WMSと同様、機能の拡張が進んでおり、配車計画の作成や運行状況の管理、実車率・積載率の算出などにも対応しています。
国際間の輸送における各種手続処理の電子化が進んだのもこの時代です。日本においては、1978年にNACCS(Nippon Automated Cargo and Port Consolidated System:輸出入・港湾関連情報処理システム)の稼働が開始されました。NACCSとは、通関や関税の納付などを効率的に処理することを目的に構築された、行政機関、輸出入業者、物流会社、海運・航空会社、通関業者、金融機関などを相互につなぐ情報処理システムです。対応可能な地域・貨物が増えたことで、現在では輸出入手続の約99%がNACCSによって処理されています。
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