全世界で同時進行的に進む第4次産業革命。タイでも「タイランド4.0」など政府が支援する動きが目立つ。さらに、タイ企業でも積極的な取り組み事例なども現れ始めている。セメントや建設資材などを主力事業として展開するSCG-CBMの取り組みを紹介する。
IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)関連技術など先進のデジタル技術を活用し「データ」を中心とする産業構造の変革の動き「第4次産業革命」に大きな注目が集まっている。これらの取り組みは先進国だけに限った話ではない。全世界で同時進行的に進んでいるというのが大きな特徴となっている。
これらの動きの1つとしてタイでも政府が「タイランド4.0」(※)を積極的に推進するなど、第4次産業革命を取り込もうとする動きが本格的に広がってきている。
(※)関連記事:ほほ笑みの国で進むデジタル変革の波、タイランド4.0における日系製造業の役割
こうした動きが広がる中で、第4次産業革命に向けた取り組みを強化するのが、タイの複合企業グループであるSiam Cement Group(サイアムセメントグループ)において、セメントや建設資材の製造、流通事業を行うSCG Cement-Building Materials(以下、SCG-CBM)である。
SCG-CBMでは2018年9月に日立製作所および、日立のタイ現地法人である日立アジア(タイランド)と、工場のエネルギー省力化や流通業務の効率化に向けた協創の覚書(MOU)を締結。IoTやAIなどを活用したデジタルソリューションの開発や共同実証などについて取り組みを進めているところである。SCG-CBMのバイスプレジデントであるチャナ・プーミー(Chana Poomee)氏に、デジタル変革への取り組みについて話を聞いた。
MONOist IoTやAIなどデジタル技術の活用に大きく踏み切るようになったきっかけは何がありますか。
プーミー氏 IoTやAIなどのデジタル技術は、現実的に考えてみても「特別な誰か」しか扱えないような技術ではなく、あらゆる産業でも当たり前に使われる技術になっていくと考えている。
今後は従来こうしたデジタル技術を使わなかったようなさまざまな産業で、データが中心の新たな製品やサービスの形が生まれてくる。SCG-CBMでも産業での知見を生かしながら、新たなデータを生かした取り組みを構築する方針である。例えば、SCG-CBMでもCPACという顧客との取引のシステムなどを用意しているが、そのデータを生かして顧客のさまざまな兆しを捉えて新たなサービスを構築するようなことも考えている。
これらのデジタル技術を生かした新たな事業基盤として、SCG全体では「Future Industry 4.0プラットフォーム」の構築を目指している。ただ、これらを実現するには、自社だけの技術だけでなく、外部の知見を生かしていかなければならない。そういう意味で日立製作所との協業も進めた。
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