マツダのクルマづくりはデザインとSKYACTIVを冠したエンジン、トランスミッション、シャシーで飛躍的にそのクオリティを高めてきた。そしてSKYACTIV第2章ともいえるフェイズの幕開けを飾るのが2019年5月24日に発売されたアクセラの後継車「MAZDA3」だ。自宅付近のディーラーで早速試乗したので筆者が感じたことを記そう。
マツダのクルマづくりの大きな変革点は、2011年にマイナーチェンジを受けた3代目「デミオ」だと思っている。SKYACTIVエンジンを初めて搭載したからだ。実際、このクルマを約1000kmを走らせたが平均燃費が18km/l(リットル)超、当時としては素晴らしい値だった。SKYACTIVテクノロジー第1弾となったデミオに続き、クリーンディーゼルエンジン「SKYACTIV-D」を搭載した初代「CX-5」。SKYACTIV-Dは、黒いススが入ったボトルを振るという1992年当時の東京都知事、石原慎太郎氏のパフォーマンスによって、市場から一度は駆逐されたディーゼルエンジン車を見事に復活させた。
それ以来のマツダのクルマづくりはデザインとSKYACTIVを冠したエンジン、トランスミッション、シャシーで飛躍的にそのクオリティーを高めてきた。そしてSKYACTIV第2章ともいえるフェーズの幕開けを飾るのが2019年5月24日に発売されたアクセラの後継車となる「MAZDA3」だ。自宅付近のディーラーで早速試乗したので筆者が感じたことを記そう。
まず目を引くのはそのエクステリアだ。特にMAZDA3ファストバック(以下FB)は近年の日本車とは一線を画す美しさ。明確なキャラクターラインがないクルマで美しいと筆者が感じたクルマはおそらく初めてだ。2004年にSUBARU(スバル)「レガシィB4」を愛車にして以来、Mercedes-Benz(メルセデスベンツ)の2008年式「C200 Avantgarde」、BMWの2013年式「320d Sport」、そして2015年式「BMW320d M-Sport」とキャラクターラインのはっきりしたセダンに乗り続けた筆者が、キャラクターラインを持たないハッチバック車に魅せられるのだから、FBのデザインは見事と言うしかない。
斜め後ろから見るFBは艶めかしさすら感じさせる。欧州車で最も艶っぽいデザインはアルファロメオだと思っているが、アルファさえ凌ぐ艶っぽさだ。一方、MAZDA3セダン(以下セダン)はフロントマスクこそ同じで、グリル周りのモールディングの表面処理色のみ異なるデザインだが、フロントフェンダーからドアにかけて、強くはないもののキャラクターラインを持っている。同じ車種でここまでアウターパネルを変えるクルマが今までにあっただろうか?
筆者がエクステリアで最も重視するサイドビュー、そして斜め後ろからのセダンのデザインはFBとは全く印象が違う端正で大人っぽいものだ。Webサイトなどの画像を見た限りでは「買うならFBだなぁ」と思っていたが、実車を見るとセダンの魅力もかなりのものだ。
セールス担当の方に促され、FBの「15S Touring」、6速MT車のドアを開け、運転席に座った。驚愕した。フルソフトパッドのインパネには美しいステッチが施され、エアコン操作パネルやシフトレバー周りのスイッチの加飾は光沢を抑えて高級感が漂っている。これがエントリープライス220万円のクルマなのだろうか!? 私の愛車BMW3シリーズ(今となっては旧型のF30)のクオリティーをはるかに超えている。
常にドライバーの目に入るメーター類はTFTカラー液晶ながら、中央に大径のスピードメーター、左にタコメーター、右に燃料計と水温計がアナログ表示される。スピードメーターの両外側には、燃費及び残りの走行距離がそれぞれ示されている。クルマ好きには文句のつけようのないレイアウトで、100点満点を進呈したい。
ちなみに新型BMW3シリーズ(G20)は同じフル液晶ながら、左側に時計回りのスピードメーター、右側に反時計回りのタコメーターと筆者には信じられないレイアウトになってしまった。
プジョーも同様の配置だが、BMWとはキャラが違う。スポーティさをうたうクルマはスピードメーターとタコメーターは双方とも時計回りでなければならない。タコメーターがデジタル数字だったりバーグラフなどはもっての外だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.