ローデ・シュワルツ・ジャパンは2019年4月25日、東京都内で記者向けに説明会を開き、自動車分野の取り組みを紹介した。同社は車載レーダーやコネクティビティ、車載イーサネットやCAN FDなどの車載ネットワーク、EMC測定といったソリューションで自動車分野に注力している。
ローデ・シュワルツ・ジャパンは2019年4月25日、東京都内で記者向けに説明会を開き、自動車分野の取り組みを紹介した。同社は車載レーダーやコネクティビティ、車載イーサネットやCAN FDなどの車載ネットワーク、EMC(電磁両立性)測定といったソリューションで自動車分野に注力している。
今後普及が見込まれるセルラーV2X(C-V2X)に向けては、Vector Informatik(ベクター)のツールで作成した市街地の走行シナリオを基に、複数台の車両を走らせた状態でのアプリケーションの解析やシミュレーションを行えるようにした。計測器メーカーとソフトウェア開発ツールベンダーが連携するのは珍しいケースだという。
C-V2Xは、携帯電話の通信網を使って車車間(V2V)、路車間(V2I)、歩車間(V2P)で通信する技術だ。携帯電話通信網ではなくDSRC(狭域通信:Dedicated Short Range Communications)を使うV2Xを採用する自動車メーカーもいるが、C-V2Xは欧米の自動車メーカーやサプライヤーが中心となって製品化に取り組んでいる。クルマとネットワークをつなぐ「LTE Uu」、基地局を経由せずにクルマとクルマ、歩行者などを直接つなぐための「LTE PC5」といった規格があり、当面は4G LTEが使用されるが、5Gへの移行も計画されている。
ローデ・シュワルツはC-V2X向けに、チップベンダーであるQualcommやHuawei、Datang、Autotalksで検証済みのソリューションをそろえる。5Gオートモーティブアソシエーション(5GAA)や3GPP、米国運輸省のコネクテッドカーの認証に関するOmniAir コンソーシアム、中国情報通信研究院(China Academy of Information and Communications Technology、CAICT)とも連携している。
C-V2X向けには、3G、4G、Wi-Fi、Bluetooth向けのテスター「CMW500」や、5Gをカバーする「CMX500」を展開する。自動車メーカーやサプライヤーはこれらを疑似基地局とし、開発する通信モジュールをつなげる。GPSやロシアのGLONASS、欧州のGalileo、中国のBeiDouといった準天頂衛星測位システムに対応した「SMBV」とCMW500を組み合わせたソリューションは、C-V2Xのプロトコル試験の測定器として2018年6月にGCF(Global Certification Forum)の認定を受けている。C-V2Xへの対応は、Qualcommとの密接な連携があって実現したとしている。
2019年4月からローデ・シュワルツは、C-V2Xのアプリケーション試験への対応を開始した。V2V、V2I、V2Pのそれぞれでさまざまなユースケースが想定されているが、実際に複数台の車両を走らせて試験を行うのは難しい。そのため、ベクターのシナリオ作成ソフトとCMW500やSMBVが連携し、複数台の車両を走らせる走行シナリオの中で、シミュレーションを行えるようにした。複雑な走行環境で検証できるため、自動車メーカーやサプライヤーからの引き合いが多いという。車両同士が通信の妨げにならないか、交差点で信号を無視した車両に対してインフラや他の車両の通信モジュールがどのように動作するかなど、さまざまな状況を想定した試験を行うことができる。
ローデ・シュワルツとベクターの連携はC-V2Xに限られたものではなく、各国の自動車アセスメント(NCAP)を想定したシミュレーションに転用することも可能だという。NCAP向けの走行シナリオとCANなど車載LANのデータを用意し、ミリ波レーダー向けの試験機を組み合わせることができる。
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