米Intelは2019年4月2日(現地時間)、同社の10nmプロセス技術を採用したFPGAファミリー「Agilex(アジレックス)」を発表した。同社は現在展開している「Stratix」や「Aria」「MAX 10」などの全FPGAブランドをAgilexブランドに統一する方針だ。
米Intelは2019年4月2日(現地時間)、同社の10nmプロセス技術を採用したFPGAファミリー「Agilex(アジレックス)」を発表した。同社は現在展開している「Stratix」や「Aria」「MAX 10」などの全FPGAブランドをAgilexブランドに統一する方針で、同年第3四半期にエンジニアリングサンプルの提供を開始する予定だ。
同社プログラマブル・ソリューションズ事業本部チーフプロダクトマーケティングオフィサーを務めるPatrick Dorsey(パトリック・ドーシー)氏は、「FPGAビジネスに20年携わってきたが、その中でもAgilexは最も素晴らしい製品だ。高性能なコンピューティングエンジンであり、エッジからクラウドまで“Any-to-Any”に対応するインテグレーションを提供する」と同製品について述べるとともに、ブランド名の由来がAgility(機敏さ)とFlexibility(柔軟さ)の造語であることを明かした。
DSP性能が最大で40TFLOPS(FP16演算時)に達するAgilexファミリーでは、10nmプロセスに加えて第2世代の「HyperFlex」FPGAアーキテクチャを新たに採用した。これにより従来製品で最も高性能のStratix 10と比べて、最大40%の高速化を実現しつつ40%の消費電力低減も両立している。
また、足回り面でも改良を積み重ねた。DDR5 SDRAMやHBM(High Bandwidth Memory)、そして同社の3D XPoint技術を用いた「Optane DC Persistent Memory」といった各種メモリに対応した他、最大112Gビット/秒(Gbps)のトランシーバを搭載。インターコネクトではPCI Express(PCIe) Gen 5や新規格の「Compute Express Link(CXL)」をサポートする。
CXLは2019年3月に発表されたCPUと各種デバイスをつなぐ、主にデータセンターでの活用を想定したオープン規格。同規格ではPCIe Gen 5の物理層を活用しつつも、I/Oやメモリプロトコル、コヒーレンシインタフェースを改良、追加したものとなる。同規格を利用することによりCPUとデバイス間でメモリとキャッシュのコヒーレンシを維持できるため、互いのメモリ空間でリソースの共有や低遅延なデータアクセスといった恩恵が受けられる。AgilexはCXLに対応した業界初(同社調べ)のFPGAとなるが、CPU側もXeon Scalable Processorを含む今後登場するIntel製プロセッサで対応する方針だ。
昨今注目を集めるAI(人工知能)のワークロードに対してもAgilexでは性能強化を施し、Dorsey氏は「AIアクセラレータとしても最適」なFPGAと自信を見せる。AgilexではFP32やFP16といったIEEE 754で定められた浮動小数点形式の他、ニューラルネットワークの演算精度として用いられるbfloat16(指数部8ビット、仮数部7ビットの浮動小数点形式)、INT8からINT2までの整数形式に対応するDSPを構成できる。「bfloat16に対応する初めてのFPGAであるとともに、AIワークロードに対してFPGAでトップの性能を持つ」(Dorsey氏)とし、最大で92TOPSの演算性能を発揮するという。
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