SCADAはIIoTソフトウェアプラットフォームへ進化、その実態に迫るIIoTの課題解決ワンツースリー(2)(2/4 ページ)

» 2019年04月02日 11時00分 公開

アラーム解析

 工場内にはさまざまな基準があり、どのレベルでアラームを解析するのか企業によってさまざまであるとは思うが、少なくとも欧州ではこのレベルでアラームを解析しているという例を紹介したい。

 まずアラームとはどんなことを意味するのだろうか。例えば、治具に部品を設置して蓋を閉じてスタートボタンを押す工程があるとする。その際に、納品される部品の寸法が変動したために蓋がなかなか閉まらず、スタートボタンを押しても動作しない場合がある。現場の作業員は何とか製造ノルマを果たすために、蓋を強引に押し込んでスタートさせるのだが、その度に異常行動であるためにアラームが発生することになる。

 こういったアラームは大小含めて多くのところで発生していて、これが積もり積もって製造の生産性を落としている可能性がある。その場合には「このXX週間の発生頻度の最も高いアラームをYY件表示」といった形で統計を取り、改善部門としてどこにリソースを割いて改善投資をするか判断することになる。その統計結果を示しているのが以下の図である。

photo トップアラーム表示(クリックで拡大)出典:リンクス

 また、タイミングがクリティカルなアラーム解析においては、アラーム発生タイミングを実時間のタイムスタンプと共に取得する必要がある。シーメンス製のPLCなどでは標準でアラーム情報にタイムスタンプを組み合わせてSCADAに渡してくれるものもある。もし備わっていない場合はPLCに工夫をすることでタイムスタンプと共にアラーム情報を取得できるようになる。タイムスタンプ付きでアラーム情報が上がってくると、センサーやアクチュエータの状態データとアラームを時間軸上で整列させることができる。

photo PLCから値と併せてタイムスタンプ情報を収集(クリックで拡大)出典:リンクス

 センサー、アクチュエータ、アラームといったデータ全てが時間軸上で整列されるとさまざまな「見えるもの」が生まれてくる。これらのログを解析していくことになるが、その解析においても、視覚的に解析を行うツールも準備されている。

 アラームが発生した履歴を選び時間軸を動かすことで、その瞬間のセンサーやアクチュエータの状態を表示し、バルブが開閉されている様子が見られる。そうすると、「アラームが発生した直前に、バルブ1番が変な動きをしている」といった様子を見つけ出すことができるようになる。

photo リプレイ機能のシステム構成(クリックで拡大)

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