「CC-Link IE TSN」への対応を進めることで、ある意味でネットワーク機器を同一規格にそろえる必要性がなくなり、メーカーとしての囲い込みが難しくなるともいえるが、三条氏は「オープン性を打ち出した規格となるが、FA機器をリードする立場を持つ三菱電機としては、これらのFA機器の新たな流れにいち早く対応し、新たな価値を打ち出していくつもりだ。そういう姿勢を評価してもらえればよいと考えている。また、新たな規格の採用により、装置そのものも高性能化する。その新たな性能や機能を強く提案していく」と対応の狙いについて述べている。
「CC-Link IE TSN」対応機器群の価格帯については「性能などによって変わるところがあるが、基本的には従来機種と同等の価格を想定している。新規格を採用したからといって価格を上げるということは考えていない」(三菱電機 名古屋製作所 副所長 井川康氏)としている。
需要が期待できる業種については「まずは現在市場が活況である半導体やリチウムイオン電池などの領域の工場や製造装置などが期待できると考えている。これらの製造ラインは非常に複雑で配線などもさまざまなものが混在している。そういう中で『CC-Link IE TSN』で省配線化できる利点や、高速、高精度である利点などを訴えていく。ラインのスループット全体を高める意味でIoTとの相性の良さなども提案の強みとなる」と都築氏は語る。
今後に向けてはまずこれらの製品群の投入を進めていく一方で、2020年春をめどに、セーフティ関連機器の「CC-Link IE TSN」対応を進めていく計画だとする。都築氏は「将来的には各機器や各装置内はさまざまな通信プロトコルで接続されていてもこれらを取りまとめる通信プロトコルとして『CC-Link IE TSN』が中核を担うような姿を描いている。これらに対応する機器を順次投入していく」と今後の展開について語っている。
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