中国のファーウェイはハノーバーメッセ2018に出展し、5GやeLTE、TSNなど産業用通信に関する最新技術とそのデモを披露し、工場のデジタル変革に関する新たな価値を訴求した。
中国のファーウェイ(華為技術、HUAWEI)はハノーバーメッセ2018(2018年4月23〜27日、ドイツ・ハノーバーメッセ)に出展し、5GやeLTE、TSNなど産業用通信に関する最新技術とそのデモを披露し、工場のデジタル変革に関する新たな価値を訴求した。
インダストリー4.0など産業のデジタル化の中で、重要性を増しているのが通信技術である。ファーウェイは通信技術企業として、先進の技術をこのデジタル変革の動きに合わせてソリューションとして紹介。「コネクテッドファクトリー」「コネクテッドカー」などでデモを含めてソリューションを紹介した。
2020年の実用化に向けて注目が高まっている「5G」では、ネットワークスライシング技術により要件に応じて通信帯域を提供することが可能になる。そのため、従来は工場内の制御領域での活用などで大きな課題と見られていた「遅延時間(レイテンシ)」の問題を解決できる可能性に期待が集まっている。
ハノーバーメッセ2018のファーウェイブースでは、この5Gの低遅延性を生かして、AGV(無人搬送車)とロボットアームを5Gを介して遠隔制御し、タッチパネルの上に乗せたボールを移動しながら乗せ続けるというデモを披露した。遅延時間は2ミリ秒以内としており、移動するボールの状況をタッチパネルのセンサーで把握して、クラウド上の制御プログラムによりリアルタイム制御を行う。
実際には5Gで低遅延性を実現する技術の実用化は2020年よりも大きく遅れるとされており、工場内の制御領域で利用するのは当面先だと見られているが、クラウドからの遠隔制御などに可能性を感じさせた。会場では新たにドイツのベッコフオートメーションなどと5Gの利用に関する実証を共同で進めることなどを発表。産業用途での実用化に向けて取り組みを進めていく。
同様に工場内の遠隔制御のデモとしては「5G」ではなく既存技術である4G LTEを産業用グレードに高めた「eLTE」による自動搬送のデモなども披露。こちらは20〜30ミリ秒程度の遅延が発生するために、5Gのような低遅延性が求められる制御には活用できないが、既にファーウェイの自社工場では導入して実証を進めており、AGVなどによる搬送については「問題ない」(同社)としている。
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