ホンダが本田技研含めた体制変更、欧州では「電動化を機にブランド強化」製造マネジメントニュース(1/2 ページ)

ホンダは2019年2月19日、東京都内で会見を開き、同年4月1日付の組織運営体制の変更と、四輪車の電動化に向けた生産体制の見直しについて発表した。

» 2019年02月20日 06時00分 公開
[齊藤由希MONOist]
ホンダの八郷隆弘氏(クリックして拡大)

 ホンダは2019年2月19日、東京都内で会見を開き、同年4月1日付の組織運営体制の変更と、四輪車の電動化に向けた生産体制の見直しについて発表した。

 二輪事業では中国やインドの新興二輪メーカーとの競争や、環境規制の強化に対応するため、本田技術研究所の二輪R&Dセンターとホンダエンジニアリングの二輪開発機能をホンダの二輪事業本部に移管する。これにより、これまでにも進めてきた営業・生産・開発・購買の連携を一層強化し、競争力を高める。

 四輪事業は、代表取締役副社長の倉石誠司氏が四輪事業本部長を担当し、四輪事業について即断即決できる体制とする。本田技術研究所には、四輪事業本部との連携を深めるため、商品開発を担う「オートモービルセンター」を新たに設ける。グローバルな電動化の加速に対応できる体制づくりも四輪事業のテーマとなる。現在、電動車の生産体制は日米中で強化している。欧州向け電動車は環境規制の方向性が近い中国と商品ラインアップを共有し、日中から供給する方針だ。欧州域内での電動車生産は競争力などの観点で難しいと判断した。

 また、パワープロダクツ事業では、エネルギービジネスの事業化にめどがついてきたことから、パワープロダクツ事業本部の担当事業に組み入れる。

本田技術研究所はどう変わるのか

 今回の組織運営体制の変更で、本田技術研究所は先進技術研究と商品開発に組織が分かれる。役割を明確化し、それぞれの領域に集中できる運営体制とする。

 現行の本田技術研究所の組織は二輪、四輪、パワープロダクツ、航空機エンジンのそれぞれのR&Dセンター、新領域の研究開発を担うR&DセンターX、四輪モータースポーツを担当するHRD Sakuraに分かれている。これらのうち航空機エンジンR&Dセンターはエアロエンジンセンターに名称を変更し、HRD Sakuraは組織を維持。二輪R&Dセンターはホンダの二輪事業本部に移管される。

 残りについては改組し、先進技術研究所と3つの商品開発のセンターに変更する。先進技術研究所は10年先を見据えた新たなモビリティに取り組むという。商品開発は、四輪向けのオートモービルセンター、デジタル技術を活用して新価値創出を目指すデジタルソリューションセンター、R&DセンターXとパワープロダクツR&Dセンターを統合したライフクリエーションセンターの3つで行う。研究開発戦略の策定やリソース管理は新設した統括機能本部で行う。

本田技術研究所の運営体制の変更(クリックして拡大) 出典:ホンダ

 本田技術研究所のデジタルソリューションセンターは、四輪だけでなく二輪やライフクリエーション分野も含めてデジタル技術を活用する役割を担う。ホンダの四輪事業本部内では、モビリティサービス事業部を新設するとともに、コネクテッド事業企画部を事業化に向けて機能を強化しコネクテッド事業部に名称変更する。IT本部のコネクテッド開発部、購買本部のサービスイノベーション機能も連携を強化する。同センターはこれらの部門と連携し、MaaS(Mobility-as-a-Service、自動車などの移動手段をサービスとして利用すること)など新しい分野に取り組む。

 二輪事業で本田技術研究所の開発機能を移管したのは、中国やインドの新興メーカーとの競争が激化していることが背景にある。ホンダ 代表取締役社長の八郷隆弘氏は「中国やインドの二輪メーカーはコミューターが製品の主体だったが、中型、大型車にシフトしている。追いかけてくる方のスピードが速く、われわれももっと早くやろうという危機感がある。熊本製作所では生産、開発、購買が一体化を進めてきた経緯があったので、研究所も含めてさらに一体感を持たせる」と説明した。

 四輪事業は、二輪のように開発機能を統合せず現在の研究所の体制を維持するが、連携を強化するため本田技術研究所の中で商品開発のオートモービルセンターと先進技術研究所に分ける体制とした。

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