三菱電機は、東京都内で研究開発成果披露会を開き、世界最高感度のグラフェン赤外線センサーを披露した。高感度の赤外線センサーとして用いられている量子型センサーと比べて10倍以上の最高感度を達成したという。
三菱電機は2019年2月13日、東京都内で研究開発成果披露会を開き、世界最高感度のグラフェン赤外線センサーを披露した。高感度の赤外線センサーとして用いられている量子型センサーと比べて10倍以上の最高感度を達成したという。大阪大学との共同研究成果であり、2025年度以降の事業化を目指し開発を進める方針である。
開発したグラフェン赤外線センサーは、グラフェン層の下側に絶縁層と光増感層、バックゲート電極を作り込んだデバイスとなっている。デバイス上方から照射される赤外線が、グラフェンを透過して絶縁層と光増感層で吸収されると、光ゲート効果によりグラフェンをつなぐ電極間に光電流が流れる。半導体に用いられるシリコンの100倍超の電子移動度を持つグラフェンは、この光電流の変化を敏感に検出できるため、極めて感度の高い赤外線センサーを実現することができた。
なお赤外線センサーの感度としては、従来の量子型センサーが3A/Wであるのに対し、グラフェン赤外線センサーは10倍以上の34A/Wを達成している。
同社は2012年度からグラフェンを用いた応用研究を開始。これまでにグラフェンそのもの光電効果を利用した赤外線センサーの開発にも取り組んでいたが、炭素原子層の薄いシートであるグラフェンの場合、十分な光電効果が得られる前に赤外線が透過してしまうという課題があった。「そこでグラフェンの高い電子移動度を活用する方向に開発をシフトした」(同社の説明員)という。
主な用途は、長距離・広範囲の監視、非破壊検査、ガス検知、インフラモニタリングなどがある。また、三菱電機の製品を高度化する用途でも活用可能とする。
なお、開発した試作品は量子型センサーと同様に冷却が必要だが、今後は冷却が不要になるような開発も進めていくという。
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