トヨタ自動車は2019年2月6日、東京都内で会見を開き、2019年3月期第3四半期(2018年度4〜12月期)の連結決算を発表した。
トヨタ自動車は2019年2月6日、東京都内で会見を開き、2019年3月期第3四半期(2018年度4〜12月期)の連結決算を発表した。
9カ月間累計の連結販売台数は670万1000台で、前年同期から2万3000台増加した。日本と北米の減少を、欧州とアジアがカバーした。売上高は前年同期比3.1%増の22兆4755億円、営業利益は同9.5%増の1兆9379億円、当期純利益は同29.3%減の1兆4233億円となった。
営業利益では、原価改善の努力で100億円、また、台数や構成の改善、金融事業や販売諸費用など為替やスワップなどの影響を除いた営業面の努力で2100億円を確保した。当期純利益は、前期に米国税制改正による2919億円の利益があったことや、今期の未実現持分証券評価損の3100億円の影響で減益となった。
通期の業績見通しは、売上高と営業利益を当初の予想から据え置いたものの、当期純利益は未実現持分証券評価損を織り込んで4300億円減の下方修正とした。
決算会見にはトヨタ自動車のコネクティッドカンパニーでプレジデントを務める副社長 友山茂樹氏が登壇し、コネクテッドカーとMaaS(Mobility-as-a-Service、自動車などの移動手段をサービスとして利用すること)の取り組みについて語った。
トヨタ自動車は2016年に“3本の矢”からなるコネクテッドカー戦略を発表。1つ目の矢がクルマのコネクテッド化と「モビリティサービスプラットフォーム」の構築で、2020年までに日米中で販売する乗用車に車載専用通信モジュール「DCM」を標準搭載とする。2つ目の矢はビッグデータ活用によって、アフターサービスや自動車保険などトヨタ自身のビジネスを変革することだ。そして、3つ目の矢が、さまざまな企業と提携して新たなモビリティサービスを創出することとなる。
友山氏は上記の取り組みを「守り」「改善」「攻め」の3つの側面から説明した。「守り」は、顧客との長期的な信頼関係を確立し、既存のバリューチェーンを維持、拡大するためのものだ。これに関しては、車両データに基づいて販売店やコールセンターがタイムリーにアフターサービスを提供することが該当する。ディーラーへの入庫を増やし、トヨタ車やレクサス車への代替の維持につなげる。
「改善」は、車両データを使った不具合の早期発見や不具合の対象範囲の絞り込みが該当する。市場処置を迅速かつ効率的に実施し、市場処置のコストも低減する。2020年にはECU(電子制御ユニット)を対象にした無線ネットワークによるアップデート(OTA:Over-The-Air)も始める。これにより、車載ソフトウェアを最新の状態に保つとともに、従来はディーラーでの作業が必要だったソフトウェア更新のコスト低減を図る。友山氏は、コネクテッド戦略に取り組んだ過去2年間で、業務改善効果が大きく出ていると説明した。
「攻め」はクルマの新しい価値と、新たなモビリティサービスを創出することを指す。新しい価値の創出の例として、友山氏はクラウド型のAI(人工知能)アシスタントを挙げた。モビリティサービスの創出は、地域の有力なライドシェア企業などとの協業、もしくはトヨタ自動車や販売店が主体となることで取り組んでいく。いずれも、いかにバリューチェーンを確保するかという点で進める。各地域の有力なライドシェア企業の多くは、共同出資会社の相手先であるソフトバンクが筆頭株主となっている。ソフトバンクとのつながりもライドシェア企業との提携に生かす。
東南アジアの配車サービス大手であるGrab(グラブ)との協業では、モビリティサービス・プラットフォームを通じた車両の管理や安全運転の促進、通信型ドライブレコーダーを活用した自動車保険、効率的なメンテナンスを提供している。この他にもさまざまな事業主体によるMaaSビジネスを展開する中で、友山氏は「いずれの形態のビジネスでも、クルマはトヨタのものを使ってもらって、サービスやメンテナンス、保険、リースなどもトヨタのものを使って収益を確保したい。最終的には生産性が課題になる。どれだけコストパフォーマンスの高いリースやメンテナンスを提供できるかが競争力の源泉になっていく」と述べた。
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