日立製作所は、磁場強度3テスラ超電導MRIシステムの新モデル「TRILLIUM OVAL Cattleya」を発売した。楕円形状のガントリボアや独立制御のRF照射システムは従来機から継承し、組織間の磁化率の差を画像化するQSM機能を新たに搭載する。
日立製作所は2019年1月9日、磁場強度3テスラ超電導MRIシステムの新モデル「TRILLIUM OVAL Cattleya(トリリアム オーバル カトレア)」を発売した。価格は28億円(税別)からで、提供開始は同年5月8日を予定している。
TRILLIUM OVAL Cattleyaは、3テスラ超電導MRIシステム「TRILLIUM OVAL」に、組織間の磁化率の差を画像に反映させるQSM(Quantitative Susceptibility Mapping)機能などを搭載。正確な診断に必要となる高画質と高機能撮像に加え、検査環境を改善して臨床研究を支援するアプリケーションを搭載し、一般臨床だけでなく研究用途にも対応できる。
TRILLIUM OVALから継承した楕円形状のワイドなガントリボアは、横幅が74cmで、体の大きな被検者や狭い所が苦手な被検者に快適な検査空間を提供する。寝台は幅63cmと広く、被検者が横に移動することにより、これまで撮像が困難だった肩関節などの部位も撮像可能だ。
独立して制御できる4ch-4port(4チャンネル、4接続点)のRF照射システムもTRILLIUM OVALから継承した。同システムはRF波の照射均一性を向上し、体幹部などの広い領域においても安定した画質を提供する。
また、肝臓や乳房のMRI検査では、RF照射が不均一な場合、描出された脂肪成分が画質劣化の原因となっていた。同製品では、RF照射の状態を確認する専用シーケンスTIGRE(タイガー)や、改良型脂肪抑制パルスH-Sinc(エイチジンク)により、脂肪を抑えた画像を撮影できる。
その他、肝臓造影検査時にTIGREと組み合わせるLiverDrive(リバードライブ)は、呼吸や体動による画質の低下を防ぎ、被検者が呼吸していても高分解能の検査画像を得られる。今回新たに搭載されたQSM機能は、アルツハイマー型認知症の早期診断への活用が期待される磁化率の差を画像化する。
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