コンピュータビジョンにかけるインテル、コストとワット当たりの性能で勝負組み込み開発 インタビュー(2/2 ページ)

» 2018年11月13日 10時00分 公開
[朴尚洙MONOist]
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インテル自身でIoTプラットフォームは手掛けない

MONOist 最近のAI関連デバイスでは、専用のASICを採用するトレンドがあります。グーグル(Google)の「TPU」や「Edge TPU」はその代表例でしょう。インテルとしてはどう見ていますか。

バロン氏 現在はAI市場が立ち上がるところであり、さまざまな目的に合わせたAIのアクセラレータが進化する段階にある。機械学習、ディープラーニング、エッジコンピューティング、コンピュータビジョンなど、用途に応じて適したものを使うことになるだろう。当社が2015年に、FPGAを手掛けるAlteraを買収したのは、PC以外でのコンピューティング需要を重視したからだ。Nervana SystemsやMovidiusもそう。用途に応じて最適なデバイスを選ぶことをヘテロジニアスコンピューティングと呼んでいるが、そういった需要は高まりつつある。

インテルは、同社製品のコスト当たり、ワット当たりの性能の高さを訴える インテルは、同社製品のコスト当たり、ワット当たりの性能の高さを訴える(クリックで拡大) 出典:インテル

MONOist インテルにとってAIやIoT関連で競合となる企業にArmがあります。Armにはどのように対抗していますか。

バロン氏 Armと競合するのは、現場の機器で用いられるエッジAIの分野になるだろう。エッジAIでは消費電力の低減が求められるが、やはり性能も求められる。そういった観点で、Armからインテルに置き換わる場合もある。2016年から、アーキテクチュラルコンバージョンプログラムという施策を進めており、これはユーザーの環境をインテルアーキテクチャベースに置き換えるものだ。この施策の3年間の累計では、Armアーキテクチャからインテルアーキテクチャへの置き換えは、顧客価値で15億米ドルに上る。

 この成果からいえるのは、低消費電力だけではダメだということだ。重ねて言うが、コスト当たり、ワット当たりの性能こそが重要だ。

MONOist 多くの企業がIoTプラットフォームを手掛けようとしています。インテルはIoTプラットフォームに対してどのように考えていますか。

バロン氏 インテル自身でIoTプラットフォームを手掛けることはない。顧客のビジネスという考えで、ITベンダーが多数展開しているものはやらない。例えば、大手クラウドベンダーのエッジ関連ソリューションである「AWS Greengrass」や「Azure IoT Hub/Edge」などを用いた製品の実現に貢献することに注力している。

MONOist GE(General Electric)の経営危機で、米国の産業用IoT市場がトーンダウンしているという意見がありますが。

バロン氏 産業用IoT市場は、米国でも、グローバルでもチャンスは極めて大きい。成長率は他分野の平均の2倍という高さだ。1個の会社の影響でどうこうなるというものではなく、インテルとして今後も積極的に取り組む方針だ。



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