日系工作機械メーカーの雄であるオークマは、JIMTOFにCNC旋盤の加工室内部にロボットアームを組み込んだロボットシステム「ARMROID(アームロイド)」を出展し、多くの来場者の注目を集めた。
第29回を数えた2018年の「日本国際工作機械見本市(JIMTOF)」。今回のJIMTOFもさまざまな工作機械が勢ぞろいし、多くの来場者を迎えている。
日系工作機械メーカーの雄であるオークマのブースで、来場者の目線をひときわ集めていたもの、それはCNC旋盤の加工室内部にロボットアームを組み込んだロボットシステム「ARMROID(アームロイド)」だ。価格は1150万円(税別)程度となる見込みで、作業効率化による人件費削減によって「一般的な使用条件では3年程度の使用で償却できる」という。
ARMROIDは、オークマ製CNC旋盤の従来機種である「LB3000 EX II」に後付けで設置できる多関節ロボットアームシステム。従来の加工室外に設置されたロボットアームでは不可能だった、旋盤加工中における加工室内のロボット動作を実現した。
ARMROIDには3種類のエンドエフェクターが用意され、ワーク着脱や加工中のワークに対して切削油散布・切粉ブロー、加工室内の切粉ブローなどを自動で行うことができる。加工中のワークを支持するサポートローラーもエンドエフェクターで用意されており、ワークの芯ぶれを低減させる。
また、ARMROIDのロボットアームはオークマの自社開発品だ。従来製品のロボットアームは「狭い加工室内で干渉なく動作させるには難しいところがあった」(同社担当者)として、「必要最小限の制御軸数で加工室内を器用に動くことができる」ロボットが必要だったためだ。ロボットアームはオークマのCNCコントローラー上で制御でき、ティーチングを必要とせず通常の工作機械と同じ操作感で使用できる。オペレーターの専門スキルを必要としないこともメリットだ。
高まる生産自動化のニーズに合わせ、システムの導入ハードル低減にも工夫を凝らしたとする。ロボットアームと移動式ワークストッカーの据え付け作業のみで立ち上げが完了し、ロボット導入時のシステムインテグレーターを不要とした。同社担当者は「オペレーターの人材不足やコストの影響により、今までロボットの導入に踏み切れなかった中小企業の工場に活用してもらいたい」と話す。
同システムの導入によって「毎日の残業1〜2時間分の作業をゼロ」にできるという。ロボットアームを利用しない場合は加工領域外へ自動的に収納されるため、オペレーターが稼働する業務時間中はロボットを利用せず旋盤単体機で小ロット加工を行い、夜間ではロボットが量産加工を行うといった使い方も可能だ。
ARMROIDは2019年春の発売を予定。ロボットアーム、エンドエフェクター3種、ワークストッカー、旋盤への取り付け部品を1セットで提供する。現時点の対応機種であるLB3000 EX II以外の同社CNC旋盤についても、対応の検討を進めていくという。
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