立命館大学は、東京都内でプレスセミナーを開催し、「ロボットシステムインテグレーターの現状と課題」について産学の両面から解説した。
立命館大学は2018年9月18日、東京都内でプレスセミナーを開催し、「ロボットシステムインテグレーターの現状と課題」について産学の両面から解説した。学の面からは、立命館大学 理工学部 ロボティクス科 教授でロボティクス研究センター長の川村貞夫氏が、産の面からは三菱電機 FAシステム事業本部 主席技監でFA・ロボットシステムインテグレータ協会の参与を務める小平紀生氏が解説を行った。
AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)などと同様に、製造業の自動化を進めて行くうえで重要な役割を果たす技術としてロボットへの注目が集まっている。ただし、製造ラインなどで用いられる産業用ロボットを、現場の状態に合わせて最適に運用するには、製造ラインや人などとの合わせ込みを行うロボットシステムインテグレーターの役割が重要になるといわれている。
ただし、国内に700〜1000社あるとされるロボットシステムインテグレーターは、ほとんどが20〜100人の中小企業だ。ロボット導入がある種のブームになっていることから、引き合いは増えているが、ロボットシステムインテグレーターそのものが人材不足にあえいでいるという調査もある※)。
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立命館大学の川村氏は、システムインテグレーション(SI)を「目的を達成するために要素からシステムに統合するもの」と定義した上で「技や経験則であり、普遍化や体系化が難しい」と説明する。
多くの科学技術は、科学に基づいて説明が可能であり、科学による説明を基に技術として進化させることができる。一方、SIは、技や経験則によって技術として実現できているものの、要素を集めてシステムを統合することの良さを説明するための「設計科学」や「統合科学」が不足しているのだ。1つの手法として、システムを構成する要素を分解し、それぞれの要素を分析科学に基づいて説明する「要素還元科学の逆過程による統合科学」があるが、要素の再構成時に異なるシステムになってしまうという課題もある。
さまざまなセンサーやコンピュータ、アクチュエータの統合体であるロボットのSIも同様の課題を抱えている。例えば、ロボットのビジョンシステムとなるカメラと、ロボットの各関節の座標系を合わせ込むキャリブレーションは、ロボットのSIの代表的な業務になる。「たとえ十分なキャリブレーションを行っても、ロボット単体の繰り返し精度よりも、キャリブレーション後の手先精度の方が良くないことが多い。科学的な説明が可能なキャリブレーション不要の制御『ALGoZa』を開発し、スピンアウトベンチャーによる実用化にも取り組んでいる」(川村氏)という。
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