パイオニアに投資ファンドが500億円超の出資、経営の自主性は維持製造マネジメントニュース

パイオニアは2018年9月12日、投資ファンドであるベアリング・プライベート・エクイティ・アジア(BPEA)の子会社とスポンサー支援に関する基本合意書を締結したと発表した。

» 2018年09月13日 07時00分 公開
[齊藤由希MONOist]

 パイオニアは2018年9月12日、投資ファンドであるベアリング・プライベート・エクイティ・アジア(BPEA)の子会社とスポンサー支援に関する基本合意書を締結したと発表した。

 BPEA子会社のKamerigはまず、同年9月18日に総額250億円の融資をパイオニアに対して実施する。パイオニアはこれを運転資金や既存の借入金の返済に充当する。また、基本合意書には総額500億〜600億円のパイオニアへの出資も含まれている。出資については、法的拘束力のある正式契約を締結した上で実施される。

 パイオニアは、全社的な経営改善計画や事業の見直し施策の検討を進めてきたが、事業や財務面の課題を早期かつ抜本的に解決するため、スポンサーからの資金提供によって足元の資金繰りやキャッシュフローの正常化を進めるとともに、既存の借入金の返済資金や成長投資のための資金を確保する必要があると判断。これを踏まえて、複数のスポンサー候補に資金提供を打診していた。

 Kamerigから出資を受けた後の経営の基本方針としては、普通株式の上場の維持、商号やブランドの維持、取引先との関係継続を挙げている。また、Kamerigはパイオニアの自主的な経営を尊重するとともに、企業価値向上に必要な変革に協力することに合意した。

 パイオニアの2019年3月期通期の業績は、減価償却費や開発費の増加によって、営業損益は12億円の黒字だった前年から50億円の損失に悪化する見通し。収益を大きく悪化させているのは、2017年2月から供給が始まった大型受注案件だという。納入の4年前から企画を立てていたものの、この4年間でクルマとコネクティビティを巡る環境が変化し、当初の企画が時代遅れなものとなった。そのため、追加でソフトウェアの変更や検証が重なり、開発投資が計画を大幅にオーバーした。この案件は売り上げのピークが2020〜2021年ごろになり、減価償却が2019年3月期から始まる。そのため、足元の収益改善が厳しい状況が今後2〜3年続く見通しだ。

 BPEAは傘下に7つのファンドを持ち、運用資産の総額は160億ドルに上る。香港やシンガポール、インド、インドネシア、東京、中国、ロンドン、米国に拠点を持つ。40社以上の企業に投資している。

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