この「Safety Cocoon Concept」を実現するのにソニーが必要だと考えるのが“人間の目を超える”という点である。人間が運転している場合、多少見えないところがあっても、経験などから気を付ければ良いポイントを捉えて想像力などで補完し、状況に対応した運転を行い安全性を確保することができる。しかし、自動運転であれば機械が見えている情報を元に高速で判断し制御することになるので、まずはインプットされる情報の精度が従来以上に重要になる。そのため、周辺環境や状況を把握する車載用イメージセンサーにも“人間の目以上”の能力が求められるようになるというわけである。
ソニーではこの“人間の目を超える”という方向性における、車載用イメージセンサーの開発方針として4つの特徴を挙げている。「高温でも見える」「月明かりでも見える」「逆光でも見える」「遠くからでも見える」という点である。
「高温でも見える」というのは、100度以上の環境でも機能する必要がある車載向けの耐環境性能を示している。「月明かりでも見える」というのは、暗いところでも低ノイズで映像を取得できる高感度性能を意味しており、「逆光でも見える」というのは、明暗差が大きいところでも問題なく映像を取得できる高ダイナミックレンジ性能を指す。また、「遠くからでも見える」というのは、多くの画素数により細かい画像でも何を示しているか分かるという高画素化を示している。つまり、耐環境性能、高画素化、高ダイナミックレンジ、高画素化の4点を強化する開発を進めていくという方針である。
これらの特徴を、ISPとCMOSイメージセンサーを搭載したSoC(System on Chip)である「ISX019」や「IMX390」などによるデモで紹介した。「ISX019」はリアビューカメラやサラウンドビューカメラでの採用を想定したSoCで、高感度や高ダイナミックレンジなどの性能だけでなく、コンパクト性などが特徴となっている。
高感度のデモでは、暗室による映像比較などを実施。人の目でもほとんど何も見えない0.5ルクスの明かりの中での映像情報の取得について従来機との比較を行った。「ISX019」で撮影した映像については、ノイズも少なく色の状況なども認識できたが、従来機ではノイズが非常に多く、色は把握できないような状況だった。「自動運転環境では、夜にヘッドライトが当たらない領域の認識をしなければならない場面が必ず出てくる。そういうときには高感度でも映像情報を取得できるようにすることが必須となる」(説明員)と高感度性能の意義について訴えていた。
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