作業時間測定の基本、ストップウォッチ法とはよくわかる「標準時間」のはなし(7)(2/3 ページ)

» 2018年08月23日 10時00分 公開

3.ストップウォッチ法の種類

 ストップウォッチによる測定法は、以下の4種類に分類することができます。時間分析の方法による精粗は、結果を適用する目的に合わせて適した方法を選べば良いでしょう。一般的に、ストップウォッチによる観測可能な最小時間は1.5〜2秒程度とされています。

3.1 継続観測法

(1)内容

 最も一般的に使用される方法で、時間観測中にストップウォッチを途中で止めずに回し続けて測定します。つまり、観測開始と同時にストップウォッチを押し、要素作業の切れ目でストップウォッチの目盛りを読み、観測用紙へその時の“読み(通し時間)”を要素作業ごとに「R:Read」欄へ記入します。所定の回数の観測が終了したら、互いに隣り合う要素作業の時間値の読みを差し引いて各要素に要した個別時間を算出します。

(2)特徴

  • 最も一般的に用いられる観測方法です
  • 繰り返し時間が長いときに用います
  • 時間観測の始めと終わりを正確につかむ必要があるときに用います
  • 要素作業時間が長いときは、ストップウォッチではなく、普通の三針時計でも利用できます

3.2 繰り返し時間観測法(スナップ・バック法、フライ・バック法)

(1)内容

 この方法は要素作業ごとに作業開始を0から始め、作業の切れ目ごとに目盛りを読んでストップウォッチの針を直ちに0に戻して、各要素作業の時間値を観測用紙に記入していきます。

(2)特徴

  • この方法の利点は、観測後に差引計算をして個別時間を出す必要がありません
  • 要素作業が短いときにこの方法を行うと、誤差が累積してしまい精度が低下するという難点があります。要素作業の時間値が小さい場合は、誤差が大きく影響するので利用されません
  • 時間を多めに読んだり、少なめに読んだりすると誤差が累積してしまいます

3.3 累積時間観測法

(1)内容

 2個または3個の時計を使用する方法で、この方法には継続時間観測と繰り返し時間観測の2通りがあります。

  • 継続時間観測:2個の時計を連動させ、要素作業が終了するごとに一方の時計が止まると、もう一方の時計が動くという仕組みを用いた観測法です
  • 繰り返し時間観測:止まった方の時計の読みを記録した後で0に戻し、要素作業の時間を読み取ります。連動した時計の動きを、おのおの1回ずつずらしておけば止まった時計から順に作業時間値を観測できます

(2)特徴

  • 短い要素作業の観測に適しています
  • 時計の連動装置が必要で、準備が複雑になるという面があります
  • 観測の総経過時間を確認することができます

3.4 サイクル時間観測法(循環法)

(1)内容

 1サイクル中に含まれる要素作業の総数より順番に1つ少ない要素作業を1つにまとめて時間を測定します。

 例えば、A、B、C、D、Eの要素作業がある場合に、Aの作業始めにストップウォッチをスタートさせ、Dの作業終わりにストップウォッチを止め、その時間を読みます。おおむね観測回数が10回程度の平均値をとります。すなわち、Eの作業を除いた他の作業を一括して観測します。同様にして、Aを除いたもの、Bを除いたもの、Cを除いたもの、Dを除いたもの、このようにして、要素作業の数だけ観測し、おのおのの平均値を計算し、以下の図1のように計算すれば、AからEまでの各要素作業を観測することができます。

図1 図1 サイクル時間観測法の例(クリックで拡大)

(2)特徴

  • 要素作業が1秒以下の作業でも測定できます
  • 各要素作業の作業時間にバラツキが多い場合は、平均値と要素作業時間との誤差が大きくなるので利用できません

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.