CanguRoのデザインを担当した山中氏は、コンセプトデザインだけでなく、アクティブリーン機構などを含めた機構設計も行った。「人間の体を拡張するような、ぴったりと張り付いて移動する機能、そしてコンパクトに折りたたまれて一緒に動いてモノを運べる機能を実現できるように設計を進めた。二輪車と同様に、構造自体がデザインでありスタイリングになっている。あらゆるディティールに美的感覚を織り込んだ」(山中氏)という。

前2輪、後1輪のリーン機構はヤマハ発動機の「LMW」やトヨタ自動車の「i-Road」などがあるが、「CanguRo」はインホイール駆動モジュールの特性を生かして、リーン機構そのものに搭乗者の足を乗せられることが特徴だ(クリックで拡大)fuRoでは2015年3月にロボット技術を応用したパーソナルモビリティ「ILY-A(アイリー・エー)」を発表している※)。「ILY-Aを進化させたら、CanguRoという異なるものに行き着いた」(古田氏)という。
駆動ユニットはILY-AからCanguRoで大幅な進化を遂げている。ほぼ同等の性能を持つモーターを用いながら、ILY-Aでは重量が2020gだったが、CanguRoではほぼ半分の1040gに抑えられている。古田氏は「日本トムソンと共同開発したサイクロイド減速機によって大幅な小型軽量化を実現し、インホイール化につなげられた」と説明する。
RidRoidシリーズ関連の商用化は2つのステップを想定しており、1つ目はインホイール駆動ユニットになる見込み。「2020年までに市販できるように量産開発を進めたい」(古田氏)としている。2つ目のステップは、RidRoidシリーズそのもの商品化だ。古田氏は「既にいくつかの企業と話が進んでいる。しかし個人的には、インホイール駆動ユニットやscanSLMなどのハードウェアやソフトウェアの部品を組み合わせることで、RidRoidシリーズのようなコンセプトのものがたくさん社会に出てくればいいと考えている」と述べる。
さらに、CanguRoに搭載するAIの開発も別建てて進んでいる。「fuRoの姉妹的位置付けにある人工知能・ソフトウェア技術研究センター(STAIR Lab)で、シーン認識のAIを開発している。シーン認識とは、単なる画像認識ではなく“空気”や“雰囲気”を読むことであり、これによりCanguRoのオーナーが求めることを先読みできるようになる」(古田氏)としている。
なお、CanguRoは、外務省が2018年8月15日から米国ロサンゼルスで開催する展示企画「ジャパンハウス」でデモンストレーションを行う予定だ。
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