千葉工業大学 未来ロボット技術研究センター(fuRo)は、プロダクトデザイナーの山中俊治氏と共同で開発した、自動変形する搭乗型知能ロボット「RidRoid(ライドロイド)シリーズ」の1つである「CanguRo(カングーロ)」を発表した。
千葉工業大学 未来ロボット技術研究センター(fuRo)は2018年7月4日、東京都内で会見を開き、プロダクトデザイナーの山中俊治氏と共同で開発した、自動変形する搭乗型知能ロボット「RidRoid(ライドロイド)シリーズ」の1つである「CanguRo(カングーロ)」を発表した。
会見の冒頭、fuRo 所長の古田貴之氏は「AI(人工知能)が注目され、クルマにもAIが搭載されつつあるが、それは本当にイノベーティブな乗り物だろうか。AからBに移動するための機械という位置付けに変わりはないのが実情だろう。そこで、AI時代の“イノベーティブな乗り物”をテーマに、乗り物を真に進化させ、人と乗り物の関係を変えるために開発を進めてきたのがRidRoidシリーズになる」と語る。
RidRoidシリーズは、Ride(乗り物)とRoid(ロボット)、2つの機能を持つところから名付けられた。クルマ以前の乗り物で、「人にとって、モビリティであり、パートナーでもあった馬」(古田氏)に着想を得ている。CanguRoは同シリーズで初めて対外的に発表するモデルで「今後もいろいろと計画している」(同氏)という。
CanguRoは、オーナーである主人に寄り添うAI搭載パートナーロボットとして振る舞うロイドモードと、主人の身体機能を拡張する人機一体の乗り物になるライドモードという2つのモードから構成される。ロイドモードでは、ショッピングをサポートしたり、コミュニケーションを補助したりする相棒ロボットになる。遠方にいる場合でも、スマートフォンなどで呼び出せば、ロボットの目のイメージと一体化しているLiDAR(ライダー)などによるセンサーとfuRo独自のSLAM(Simultaneous Localization and Mapping)技術「scanSLAM」により、指定の場所まで完全自動操縦機能で迎えにいくことができる。
ライドモードでは、fuRoと日本トムソンが共同で開発したインホイール駆動ユニット2個を前輪に配置するアクティブリーン機構により、スキーでスラロームを滑るかのような身体一体感を持った移動が可能になる。本体内蔵のボディーソニックスピーカーと移動速度に応じたCanguRoのハートビートの鼓動から、移動スピードをサドルの振動を通じて身体全体で直感的に感じ取れたり、ハンドルの力覚フィードバック機能で、旋回時の回転半径をリアルタイムで“体感”できたりするのは“人機一体感”を作り出すために実装された技術だ。万が一、事故を起こしそうになっても、LiDARによるスマートストップ機能で未然に衝突を回避し自動ブレーキが働く。
なお、ロイドモードとライドモードとの間は自動で電動変形する。外形寸法は、ロイドモードの全長が550mm、ライドモードの全長が750mm、全幅が440mm、重量が64kg。速度は、ロボット関連の特区の制限速度である時速10kmだが「技術的には時速30kmも可能」(古田氏)である。搭載電池による利用時間は、平地でのライドモード利用で約6時間、ロイドモードであれば約15時間で、充電時間は約2時間となっている。
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