第29回 設計・製造ソリューション展

小ロット生産サービスのプロトラブズ、試作だけでなく量産用途も強化DMS2018

プロトラブズは、「第29回 設計・製造ソリューション展(DMS2018)」(2018年6月20〜22日、東京ビッグサイト)において、最新の小ロット量産の事例や新規対応材料などを披露した。

» 2018年06月25日 07時00分 公開
[加藤まどみMONOist]

 プロトラブズは、「第29回 設計・製造ソリューション展(DMS2018)」(2018年6月20〜22日、東京ビッグサイト)において、最新の小ロット量産の事例や新規対応材料などを披露した。

オリィ研究所、日本電色工業などプロトラブズユーザーの事例展示

 プロトラブズは小ロット生産に特化するオンライン部品加工メーカー。ユーザーは3Dデータを同社のWebサイトにアップロードすることで、自動見積もりから加工、納品までのサービスを受けられる。本社は米国で、国内拠点では切削加工および射出成形を行っている。2018年6月より、鉄およびステンレスの切削であれば最短で1日の加工が可能となった。

 プロトラブズのブースでは量産例を多く紹介していた。同社は2017年秋から「従来利用されてきた試作品の用途に加えて、量産用途も開拓していく」(ブース説明員)方針を強化しているという。日頃のユーザーの利用状況から判断し、1万個までの射出成型に対応できるようにした。

 「製品の販売後はリペアパーツがどれくらい必要か分からない。また衰退期まで在庫を抱えることは負担が大きい。そのため当社ではCADデータと金型を半永久的に預かり、必要な時に必要な分だけ加工できるようにしている」(ブース説明員)

 オリィ研究所は、遠隔のコミュニケーションを可能にする分身ロボット「OriHime」の最終製品パーツの製造にプロトラブズの射出成形サービスを利用した(写真1)。

写真1:オリィ研究所の遠隔操作ロボット「OriHime」。眼窩パーツ、台座および台座の蓋部分にABSの射出成型品を用いている。

 オリィ研究所は距離や身体的問題を克服するための技術を開発するベンチャー企業。OriHimeは音声対話に加えて首や手のパーツも動かせるため、うなずきや拍手といった動作も行うことができる。そのため使用者が「そこにいる」かのようなコミュニケーションが可能になるという。OriHimeは開発中の改良や追加発注が見込まれ、量産も数百台規模の小ロットであることから、小ロット対応が可能で価格や品質、スピードのバランスのよいプロトラブズのサービスを選択したという。

 日本電色工業は、小ロット生産のポータブル水質計の外側および内部の最終製品パーツにプロトラブズの射出成型サービスを利用した(写真2)。

写真2:日本電色工業のポータブル水質計。射出成型に関する経験があまりなかったが、プロトラブズとストレスなく金型検討のやりとりを行えたという。

 日本電色工業が最初にアップロードしたCADデータはアンダーカットなどの問題があったが、プロトラブズとのやりとりを繰り返して問題点を検討した結果、デザインや操作性にこだわりながら最終製品を開発することに成功したという。

 同社はユーザーの要望に応じて常に対応材料の拡充や新材料の開拓も行っているという。ブースではテクノUMGの快適良触感材「VF100」のスマホカバーサンプル(写真3)や、2018年から国内で提供を開始した無酸素銅、加工面積が従来の約2倍になったアルミの切削サンプル(写真4)、参考出展のアルマイト加工品(写真5)などを展示していた。

写真3:テクノUMGの快適良触感材「VF100」のスマホカバーサンプル。従来の高価な材料の代わりにABSを用いながら柔らかい触感を得られるという。
写真4:アルミの切削加工サイズは340mm x 260mm x 44.5mmになった。
写真5:参考出展のアルマイト加工品。「切削や射出成型の後加工もできないかという意見もある。そのためこういった検討も進めている」(ブース説明員)。

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