製造現場や生産管理の先進化や効率化を目指す展示会「スマートファクトリーJapan 2018」(2018年5月30日〜6月1日、東京ビッグサイト)の講演に経済産業省 製造産業局長 多田明弘氏が登壇。「大変革に直面する製造業と“Connected Industries”推進に向けた取り組み」をテーマに2017年3月に発表した「Connected Industries」の進捗度について紹介した。
製造現場や生産管理の先進化や効率化を目指す展示会「スマートファクトリーJapan 2018」(2018年5月30日〜6月1日、東京ビッグサイト)の講演に経済産業省 製造産業局長 多田明弘氏が登壇。「大変革に直面する製造業と“Connected Industries”推進に向けた取り組み」をテーマに2017年3月に発表した「Connected Industries」の進捗度について紹介した。また、2018年版ものづくり白書の概要にも言及した。
多くの国内製造業の業績は、売上高と営業利益とも増加傾向にあり、現状だけを見ると好調だ。また、今後3年間についても明るい見通しだとされる。しかし、一方で現在は変化の時代にあり、さらに中長期に勝ち残るためには「データ」を活用することが重要になってきている。
経済産業省が発行する「ものづくり白書」では毎年、製造業の取り組みについての調査を行っている。ここ数年は第4次産業革命など「データ活用」に関する調査も実施している。
2016年末の調査によると、データの収集や利活用を主導する部門は「製造部門」が最多の44.8%を占め、製造業におけるデータ活用は「製造現場が中心」という状況を示す結果となった。しかし、1年が経過し2017年末の調査では、「経営者、経営戦略部門」が大きく増え、半数以上を占める55.1%を占めた。付加価値の源泉となるデータの利活用が現場マターから経営マターに移り「経営上の重要な課題であるとの認識が高まっている」と多田氏は述べる。
ただ、その内容についてはほとんど変わっておらず、実際の利活用状況は2016年末の調査も2017年末の調査も大きな違いがない状況で、データ活用そのものについては停滞している状況が見て取れる。データ利活用をビジネス変革に結び付けるためにも、経営主導の具体的な行動が重要となっており、「一日も早くアクションに移ってほしい」と多田氏は強調する。
また、人材確保の状況とその対策についての調査では、2016年末調査に対し2017年末調査では、人材不足によって生み出される問題が深刻化している結果が出た。「特に課題はない」という回答が19.2%から5.8%に大幅減少したのに対し、「ビジネスにも影響が出ている」という回答が22.8%から32.1%に大幅増加した。特に「技能人材」の確保が大きな問題となっているようだ。
人材確保対策については、現在は「新規採用」に固執する傾向がみられるが、今後は「自動機やロボットなどの導入による自動化と省人化」や「IT、IoT、AIなどの活用による合理化」が大幅に増加し、人材確保に課題のある企業ほどこれらの取り組みを重視するようになると経済産業省では予測する。また、人事制度の抜本的な見直しや待遇の強化などが増加する傾向が顕著に表れている。
さらに、デジタル(技術や知識をもっている)人材が必要と考える企業は全体の約6割に達しており、その充足状況は「質、量とも充足できていない」が全体の4分の3を占めるなど、質、量とも不足感が強い。
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