オートデスクは3D CAD「Autodesk Inventor」を核とする製造業向け総合パッケージの「Autodesk Product Design & Manufacturing Collection」を提供開始する。パッケージ契約することでCADやCAE、CAM、3D CGなどさまざまなソフトウェアが利用できる。「Autodesk Inventor 2019」は多数の機能追加や改善をすると共に、データ共有・連携機能を強化した。
オートデスクは2018年4月5日、同社の製造業向けソフトウェア製品群の新バージョンを同年4月5〜23日にかけて順次販売開始すると発表した。
製造業向け総合パッケージの「Autodesk Product Design & Manufacturing Collection」(以下、Product Design & Manufacturing Collection)は下記の製品で構成される。
Product Design & Manufacturing Collectionはパッケージ契約することで上記の全てのソフトウェアが利用でき、シングルユーザーアクセスで、1カ月契約の利用料が5万1840円、年間契約の利用料が41万6880円、3年契約の利用料が125万640円。パッケージ契約ではなく、それぞれのソフトウェアで個別契約することも可能だ。いずれもオートデスクのWebストアから購入できる。
同日の記者説明会では同パッケージの核となる3D CAD「Autodesk Inventor(以下、Inventor) 2019」を中心に紹介した。Inventor 2019は同年4月5日から販売開始している。
Inventor 2019ではユーザーへの聞き取りを基に、ソフトウェアのパフォーマンスをワークフローベースで改善したという。まず、これまでレンダリングや解析など一部分のみでマルチコア対応をしていたが、大規模アセンブリ―の処理や断面表示などその対象範囲を大きく広げたという。
モデリング機能としては「穴コマンド」を改善。穴の種類、終端、ねじのタイプ、サイズなどをあらかじめ設定した後、穴を任意の場所に配置すると、スケッチが後から自動生成される。「モデリングの“作法”を気にせず、自由に穴配置ができる」(オートデスク 技術営業本部 マネージャー 加藤久喜氏)としており、従来の設計セオリーにのっとったスケッチやモデリングとは違う、初心者や、自由に試行錯誤したいユーザー向けのモデリング機能になったという。
データ共有関連の機能もいくつか追加した。Inventorの設計モデルをビューイングデータ化してURLを生成し、「Autodesk Viewer」で共有可能にした。共有データにはコメントを付加することが可能だ。Autodesk Viewerはクラウドストレージ「Autodesk Drive」にも対応した。オートデスク製品各種のデータ形式60種類以上の他、他社ソフトウェアのデータにも対応する。クラウドストレージ内に格納されたデータを参照、整理することが可能だ。
Inventorの自動設計ツール「iLogic」はユーザーが任意に設定する設計ルールをパーツや図面などのデータにオブジェクトとして埋め込むことで設計自動化やパラメータ駆動設計を可能にするツールで、Inventorユーザーの約20%が利用しているという。こちらではクラウドベースのコンフィギュレータ「Configurator 360」のコンフィギュレーション配信機能との連携に対応した。Configurator 360はオンライン上にあるBIMモデルにアクセスすることで、製品構成をさまざまな環境にいるユーザーが操作できるツールだ。
他にも、シートメタルや配管モデリング、図面機能の改善など、細やかな機能追加や改善を多数実施したという。
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