NEDOは「物流・インフラ点検・災害対応ロボットシンポジウム」を開催。無人航空機、水中点検ロボット、陸上ロボットの社会実装加速に向けて、ロボット性能評価指標の研究成果や「福島ロボットテストフィールド」での実証について講演を行った。
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は「物流・インフラ点検・災害対応ロボットシンポジウム」を東京、名古屋、大阪の3会場で開催した。同シンポジウムでは、物流、インフラ点検、災害対応などで活躍が期待される無人航空機(ドローン)、水中点検ロボット、陸上ロボットの社会実装の加速に貢献することを目指し、NEDOが取り組んできたロボット性能評価手法の最新の研究成果やその活用が見込まれる福島ロボットテストフィールド(南相馬市、浪江町)について講演を行った。また、東京会場(2018年3月9日)では「『橋梁点検のための無人航空機』性能評価方法について」をテーマにパネルディスカッションを実施し、各社が取り組んだ実証実験の結果から得た知見などを紹介した。
パネルディスカッションに参加したのは富士通 第四システム事業本部 佐藤均氏、NEC IoTデバイス研究所 シニアエキスパート 高梨伸彰氏、エンルート 技術開発本部 技術開発部部長 高橋一則氏、プロドローン 常務取締役 研究開発本部 ソフトウェア開発担当 市原和雄氏、イクシスリサーチ 代表取締役 山崎文敬氏、橋梁調査会 企画部 調査役 吉田好孝氏、大日本コンサルタント インフラ技術研究所 保全エンジニアリング研究室 主任研究員 小林大氏、経済産業省 製造産業局 産業機械課 ロボット政策室係長 清信一芳氏、NEDO ロボット・AI部 プロジェクトマネージャー 宮本和彦氏の9人。モデレーターは東京大学大学院 工学系研究科 精密工学専攻教授 淺間一氏が務めた。
ドローンについてはさまざまな研究開発が行われているが、「それとともにドローンが現場で使用できるものとして仕上げて、事業として活用するためには、どうしていけばよいかという議論の中で、性能評価は重要なポイントになっている」(淺間氏)という。この性能評価に関する基準書の作成にいくつかの企業が取り組んでおり、今回は富士通とNECがその状況を報告した。
富士通は橋梁点検分野で「ロボットとICTを活用した点検業務のデジタル化」を進めている。実験では二輪型マルチコプタ(車輪がついているドローン)で近接撮影し、その情報を設計情報と統合して管理するという試みを実施した。「このデジタル点検は、コンピュータの上に現物が再現され、そこでも点検ができるということを期待してのものだ」(佐藤氏)という。
NECはコンクリート橋梁に対する打音検査のロボット化に取り組んでいる。コンクリート橋梁の損傷(うき)の発見には表面をたたく、打音検査が有効とされており、同社は高所や危険現場などの状態把握・点検効率の向上を目指して、打検機を搭載した飛行ロボット(ドローン)による自動化の実現を目指している。このうち初年度の同ロボットシステムの試験方法については「打検用ターゲットの設置とモーションキャプチャーによる測定なども検討している」(高梨氏)とし、これらをまとめて評価指標づくりを進めている。
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