ダッソーは心臓に関する物理、電気信号、化学反応などあらゆる現象を統合してシミュレーションしていこうという「リビング・ハート・プロジェクト」も進めている。例えばリビングハート(心臓の生体シミュレーションモデル)を使ったステントの検証などへの利用が考えられる。リビングハートを、アメリカ食品医薬品局(FDA)による医療機器に関する承認を受ける際のバーチャル試験に利用するように持っていきたいという意図がある。
そのため、リビングハートの開発契約をFDAと結んでおり、FDAからフィードバックを受けている。将来的にはBIOVIAも利用し、薬の有効成分の効き具合や副作用の検証、金属製インプラントの成分が溶け出した際の影響といったシミュレーションも想定しているとする。また現在のモデルは標準的な健康な人のものだが、今後は患者ごとの心臓をスキャンして治療計画に役立てるといったことも視野に入れている。
―― なぜリビングハートプロジェクトを始めたのか。
バーキー氏 医療分野でのプロジェクトを具体的な形にしていく際に、心臓疾患の分野が最も可能性が大きいと考えた。心臓に関する全てをシミュレーションできるモデルを触媒にして、ヘルスケア分野全体に広げていくことを狙っている。プロジェクトには医師や医療機器メーカー、FDAなどさまざまな人が関わっており、チーム全体の協力作業となる。ダッソーはその基盤技術を提供する立場だ。
クマー氏 シミュレーションの応用を加速させるプロジェクトにしたかった。長期プロジェクトだが、個別化医療をけん引するきっかけにしたいと考えている。
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