日本シノプシスは、高性能組み込み機器向けプロセッサコアの新製品「DesignWare ARC HS4x/HS4xD」を発表。現行の「HS3x/HS3xD」から大幅な性能向上を果たした新たなフラグシップ製品で、IoT(モノのインターネット)のエッジデバイスに求められる、さらなる処理性能向上と消費電力低減という要求を満たしている。
日本シノプシスは2017年6月1日、東京都内で会見を開き、同年5月23日に発表した高性能組み込み機器向けプロセッサコアの新製品「DesignWare ARC HS4x/HS4xD」について説明した。現行の「HS3x/HS3xD」から大幅な性能向上を果たした新たなフラグシップ製品で、IoT(モノのインターネット)のエッジデバイスに求められる処理性能向上と消費電力低減という要求を両方満たしているという。
シノプシスが2010年に買収したARCプロセッサは、組み込み機器に広く利用されているプロセッサコアである。SSDのコントローラーや、通信モジュール、PCのメインプロセッサのコンパニオンチップなどに組み込まれており「ノートPCであれば、合計で8〜10コアのARCプロセッサが用いられている」(シノプシス米国本社のARCプロセッサ&サブシステムソリューショングループ プロダクトマーケティング シニアマネジャーのマイケル・トンプソン(Michael Thompson)氏)という。
ARCプロセッサは超低消費電力が特徴の「EMファミリー」や、より高性能ながら消費電力も抑えた「HSファミリー」などを展開している。今回発表したHS4x/HS4xDは、HSファミリーの新製品となる。
HS4x/HS4xDは、RISCプロセッサのみの「HS44」「HS46」「HS48」(HS4x)とRISCプロセッサに加えてDSPも集積した「HS45D」「HS47D」(HS4xD)から成る。5製品とも、1コア(シングル)から2コア(デュアル)、4コア(クアッド)までのSMP(対称型マルチプロセッシング)によるマルチコア構成が可能。
最大の特徴は処理性能の向上になる。RISCプロセッサは、パイプラインが10段のデュアルイシューとなったことで、1コア当たりの処理能力が現行品のHS3x/HS3xDと比べて25%増の2.53DMIPS/MHzとなった。CoreMarkを指標とする場合は、HS3xの4.19CoreMark/MHzから、HS4xは約19%増の5.0CoreMark/MHzとなっている。最大動作周波数は2.5GHzで、そのときの1コア当たりの処理能力は6000DMIPSに達する。また、HS4xDのDSPは150超のDSP命令を実行でき、処理性能はHS3xDの2倍に向上した。そして、性能が向上した一方で、消費電力はHS3x/HS3xD比で15%低減できているという。
HS4xの主な用途は、エンタープライズ向けSSDのコントローラー、ワイヤレス機器、ホームネットワーク、制御系の車載システム、産業機器、ホームオートメーションなど。一方、DSPを併せ持つHS4xDは、モバイル機器のベースバンド、音声処理、多チャンネルホームオーディオ、最先端HMI(human-machine interface)などに用いられることを想定している。
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