人工知能でディスコン部品の代替品が簡単に発見できる設計支援システム:富士通フォーラム
富士通は、「富士通フォーラム2017 東京」において、人工知能技術を活用し、ディスコン部品の代替品などを簡単に発見できる設計支援システムを参考出品した。富士通の設計部門で実際に使用されているシステムで、外部からの反応が得られれば販売も検討するとしている。
富士通は2017年5月16日、同社のユーザーイベントである「富士通フォーラム2017 東京」(2017年5月18〜19日、東京国際フォーラム)の内覧会を実施。人工知能(AI)技術を活用し、ディスコン部品の代替品などを簡単に発見できる設計支援システムを参考出品した。
富士通が今回出展したのは「AIを活用した部品情報共有システム」で設計者の設計作業を支援するものだ。既存モデルのマイナーチェンジなどの設計を行う場合、EOL(End of Life)部品の代替品を探すのに、1つ1つ型番やスペックなどで検索して探さなければならず、設計者の負担になるケースが多かった。
富士通の「部品情報共有システム」は、共有している部品データベースでの形状や特性、メーカー、工場在庫などのさまざまな指標に対し、多次元的に要素をプロットし、人工ニューラルネットワークの手法の1つであるSOM(Self Organizing Map)手法を用いて、代替できる部品や要望に合った部品などを抽出できるというものだ。既に富士通社内で実際に使用しているシステムで、2016年度は2745件の使用実績があったという。
富士通が参考出品した「AIを活用した部品情報共有システム」のイメージ。部品の形状や特性、メーカー、工場在庫の指標などを分析し、代替品の推奨などをAIが行う(クリックで拡大)出典:富士通
ブース担当者は「ディスコン部品の代替品を見つけるのに今までは1つ1つ探していかなければならなかったが、部品情報共有システムを用いればリストで一括で代替候補となり得る部品を抽出することができる。さらに設計者に合わせて徐々に学習を進めることで求める部品を表示する精度を高めていくことなどが可能だ」と述べる。
同システムは現在は富士通社内で使っているだけだが、システムそのものはクラウドで独立して稼働させることが可能で、外販も検討しているという。「今後ニーズがあれば、外販も進めていきたい」(ブース担当者)と述べている。
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