富士キメラ総研が、センサーの世界市場に関する報告書を公開した。生体センサーや熱的/時間空間雰囲気センサー、光/電磁波センサーが市場拡大をけん引し、2020年度のセンサー世界市場は5兆9755億円に達すると予測している。
富士キメラ総研は2017年4月11日、センサーの世界市場に関する報告書「2017 センサーデバイス/ビッグデータ・IoT市場調査総覧 上巻:センサーデバイス編」を公開した。
同報告書は、さまざまな分野の各種センサーについて、世界市場の現状を調査し、将来を予想したものだ。生体センサーや熱的/時間空間雰囲気センサー、光/電磁波センサーが伸びて市場拡大をけん引するとし、2020年度のセンサーの世界市場を5兆9755億円と予測している(2015年度比で18.4%増)。
需要分野別では、電子機器向けの構成比が大きい。今後もセンサー搭載アプリケーションの増加に伴い、スマートデバイス向けの圧力センサーや指紋センサーを中心に伸びが見込まれる。
医療/ヘルスケア向けには、健康管理や予防医学などの用途で需要が増えている。車載部品向けは、特に車載カメラで使用されるCCD/CMOSイメージセンサーなどが注目されている。FA/PA(Process Automation)向けは、IoT(モノのインターネット)への対応が活発化し、センサーの多様化が進むとみられる。
センサー分野別に見ると、光/電磁波センサーの市場規模が大きく、さまざまな分野の光撮像に利用されるCCD/CMOSイメージセンサーが大半を占めている。今後もドローンやロボットをはじめとする搭載アプリケーションの増加により伸びることが予想される。紫外線センサーは、小型化により、スマートウォッチやヘルスケアバンドなど民生機器向けの搭載が増えそうだ。
熱的/時間空間雰囲気センサーは、温度センサー(サーミスター)が大半を占める。今後も省エネや高機能化、環境対応目的の搭載が増え、湿度センサー、ほこりセンサーについても家庭内の環境モニターの需要拡大から、堅調な伸びが予想される。
機械的/物理的センサーは、工場の省人化や効率化の進展に伴ってニーズが増えており、特に仕掛品や部品の幅、厚み、ぶれなどを検知する変位センサーが、今後金額ベースで大きく伸びると見込まれる。加速度センサーや圧力センサーも、幅広いアプリケーションへと活用されている。
生体センサーは、指紋センサーの構成比が高く、今後も搭載が増加する見込みだ。脈派センサーはスマートウォッチなどのウェアラブル端末への搭載が、脳波センサーはメンタルヘルスケアなどでの活用による需要増加が期待できる。
ケミカル・バイオセンサーは、自己血糖値測定に用いられるグルコースセンサーが大部分を占める。同センサーは糖尿病患者の増加に伴い今後も需要が増えると予測される。また、空燃比センサーは、より高度な燃焼管理のため、車両1台当たりの搭載数が増加しているという。
その他、物流/小売業界で導入が進むRFIDセンサーも、今後の伸びが注目されている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.