ハードウェアの制御をブラウザ技術だけでコントロールする作品をテーマに「Web × IoT メイカーズハッカソン」が開催された。最優秀賞は「天気」をモチーフにさまざまな事象を可視化する「HeartWeather」が受賞した。
ハードウェアの制御をブラウザ技術だけでコントロールする作品づくりをテーマに「Web × IoT メイカーズハッカソン」が2017年3月18、19の両日、東京都内で開催された。今回の催しは総務省、W3C(ワールド・ワイド・ウェブ・コンソーシアム)の後援により開かれたもので12チーム、45人が参加した。
ハッカソン(Hackathon)とはハック(Hack)とマラソン(Marathon)を組み合わせた造語で、ある一定のテーマの下に、技術者たちが集まり、一定時間で製品やサービスの原型を作り上げるイベントだ。今回のハッカソンではセンサーやアクチュエーターなどの物理デバイスを、JavaScriptやCSSといったWebのコードのみで制御できるオープンソースの開発環境である組み込みボード「CHIRIMEN」を使用し、ユニークな作品づくりに挑んだ。
主催者側では、さまざまなアイデアやスキルを持つエンジニア、Webデザイナー、学生らが参加し、真剣にモノづくりを競い合うこのハッカソンを通して、Webブラウザ技術の可能性や将来性についての新たな気付きが生まれることを目指したという。
各チームが使用したCHIRIMENは、センサーやアクチュエーターなどの物理デバイスをWeb技術だけで制御することができるオープンソースの開発環境で、ボードコンピュータとその上で動作するソフトウェアを含めた総称。ボードコンピュータとしてのハードウェア、その上で動作するBoot to Geckoソフトウェア、センサーや物理デバイスをJavaScriptから制御するためのWebGPIOやWebI2Cといった低レベルAPIの実装などが含まれている。日本で誕生した CHIRIMEN Open Hardware というコミュニティーによって開発され、CHIRIMENというコードネームが付けられた。
今回のハッカソンでは、2016年9月にスイッチサイエンスが発売したCHIRIMENボード「Echigo Rev.1」を各チームに貸し出し、作品の製作に取り組んだ。今回参加したのは1チーム2〜5人までの12チーム。チーム作業は初日が午前11時から午後8時まで。2日目は午前9時から午後3時までの長時間にわたる開催となった。
チームにはCHIRIMENだけでなく周辺機器(モニター、Wi-Fi ドングル、USBハブ、電源アダプター、マウス)も会場に用意した。また、今回は1人あたり6000円(税込み)×チームの人数の合計額を上限に作品の製作や開発に関わるセンサーや作品部材の材料費を主催者が負担した。さらにセンサー類は当日、会場でも現金販売を行った。この他「今回のハッカソンに参加してみたいが、自分のスキルが心配」という学生向けに、ハッカソン開催前に3日間の予備教室なども開催し、参加者をサポートした。
参加チームの製作作品の評価は、慶應義塾大学環境情報学部教授・W3C/Keioサイトマネージャの中村修氏、Mozilla Japan代表理事の瀧田佐登子氏、東京大学大学院情報学環教授の苗村健氏の3人が審査員を務めた。
審査基準としては「アイデアの独創性」「ユースケースの有用性」「ハードウェア制御の方法」「Web技術の利用(特に、WebGPIO/WebI2C インタフェースを通じた制御・ブラウザの利用を兼ね備えているか、ブラウザの新たな可能性を追求しているか)」などのポイント。審査の結果、最優秀賞には、チーム「つくるラボ(Team D)」の作品「HeartWeather(ハートウェザー)」が選ばれ、賞金20万円が贈られた。また、優秀賞は「村井研元Arch(Team A)」の「moood」が受賞し、賞金10万円が贈呈された。
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