発想はセンスでも運でもない、技術だ“イノベーション思考”で発想が変わる!(1)(2/2 ページ)

» 2016年09月15日 10時00分 公開
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「イノベーション思考」で重要な2つの理由

 先ほど、思いついた順に5つの案を並べました。それに比べたらもちろん時間はかかりましたが、テーマを論理的に構造分解し、考えるべきスコープを細分化し、ただ頭の中で考えるだけでなくそれをロジックツリーとしてアウトプットすることは「イノベーション思考」で非常に重要です。

 これには2つの理由があります。

  1. 考えを整理し、ビジュアライズすることで説明しやすく、納得してもらいやすくするため
  2. 自身の考えを目にすることで、自身が気付いていない部分に気付き、自身の“考えのクセ”を把握するため

 特に2点目が重要です。こうしてツリーにすることで初めて、「ここが足りてなかった」と気付く点も多かったのではないでしょうか。

 頭の中でひたすらアイデアを羅列することも可能です。ただ、それだと「考えたつもり」になりがちです。抽象度を段階的に合わせ、それぞれのレイヤーでアイデアを出しアウトプットすることがヌケモレを防ぐことにつながり、そして、脳にとって“考える訓練”となるのです。

 この思考法は、個人のひらめきや運に頼るものではありません。枠組みに沿って考えることで、強制的に気付きをもたらし、アイデアが生み出される。これを日々繰り返すことで身に付く“技術”なんです。

 そして、これらの中から最も大切にしたポイントを抜き出し、物件選びをしていくわけですが、冒頭のように5つしかポイントを出さなかったときと、イノベーション思考を進めて最終的には100個のポイントを出したとき、結局は同じ結論にたどり着くこともあるかもしれません。

 しかし、より多くの選択肢や項目を検討し、その中から選んだ選択肢である、ということに価値があります。考え抜いて導き出された選択肢は、それである理由、その他でない理由が検討されていて、さまざまな事象とともに検討された、力強い結論であるからです。

 後日、相談相手の上司にこのようにアドバイスしたところ、「なるほど、こうやって考えればいいのか! これらのポイントで検討しようと思うよ。ありがとう!」と大変喜んでくれました。きっとあなたの思考術に価値を感じて、今後も相談相手としてくれるでしょう。“イノベーション思考”、おそるべし。

 ではこのような“イノベーション思考”をどうやって身に付けるのか? この考え方の“コツ”を次回から説明していきます。

筆者プロフィル

株式会社VSN VIエキスパート 桑山 和彦(くわやま かずひこ)

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通信機器、情報機器メーカーより株式会社VSNに転職。VSNに入社後はエレクトロニクスエンジニアとして半導体のデジタル回路設計やカメラ用SDK開発業務に携わる。

2013年より“派遣エンジニアがお客さまの問題を発見し、解決する”サービス、「バリューチェーン・イノベーター(以下、VI)」を推進するメンバー「バリューチェーン・イノベーター・プロフェッショナル」に抜擢。ビジネス・ブレークスルー大学・大学院の教授である斎藤顕一氏より問題解決手法の教示を受け、いくつもの問題解決事案に携わる。

現在はVIエキスパートとして、よりハイレベルなサービスの提供に向けての提案活動を牽引する他、社員の育成プログラムの構築〜実施を行う。

株式会社VSN http://www.vsn.co.jp/

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