製造業のIoT化を加速させる安価な長距離無線ネットワークの可能性IoTと製造業の深イイ関係(2)(4/4 ページ)

» 2016年09月14日 13時00分 公開
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サブギガヘルツ帯を使う「Wi-Fi HaLow」も登場

Sigfoxの「Sens’it」の通信モジュール Sigfoxの「Sens’it」の通信モジュール 出典:筆者撮影

 このような特定の用途ではなく、アイデア次第でさまざまな利用方法が期待できる製品もある。フランスのSigfoxの「Sens’it」は、温度、湿度、光、アクセラレータ、ジャイロスコープと5つのセンサーを搭載している小さなデバイスだ。用途は「アイデア次第」。既存のモノに取り付けることで、センサーが検知した情報を通知することができる。またセンサーが収集した情報を継続的に蓄積/分析することで新たなサービスを生み出せる。

 類似の製品としては、韓国のLG Electronicsが、温度、湿度、振動、赤外線などのセンサーを組み込んだ小型デバイスを展開している。例えば、窓に取り付けることで開閉を感知したり、あるいはエアコンに取り付けることでスマートフォン経由でエアコンをオンにしたりすることができるなど、センサーと通信機能を持たないモノをコネクテッドにすることで、スマートホームを実現するというものだ。LGの場合は、長距離無線通信ではなくWi-Fiを利用しているが、Sens’itは長距離での利用が可能なため、その利用範囲は無限大だ(ただしSigfoxの回線が敷設されている地域であることが前提となる。日本ではまだSigfoxは敷設されていない)。

 2016年には新たにサブギガヘルツ帯を使った、低消費電力で長距離通信を実現する「Wi-Fi HaLow」なども出てきている。用途に適した回線をデバイスに搭載することで、モノを売り切りではなくサービスとして展開することができるようになり、継続的な顧客接点を持ち続けることで、新たなビジネスチャンスが生まれると期待できる。

筆者プロフィール

吉岡 佐和子(よしおか さわこ)

日本電信電話株式会社に入社。法人向け営業に携わった後、米国やイスラエルを中心とした海外の最先端技術/サービスをローカライズして日本で販売展開する業務に従事。2008年の洞爺湖サミットでは大使館担当として参加各国の通信環境構築に携わり、2009年より株式会社情報通信総合研究所に勤務。海外の最新サービスの動向を中心とした調査研究に携わる。海外企業へのヒアリング調査経験多数。



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