マツダはボディーカラーも造形の一部と位置付ける。「魂動デザインに取り組んでいる時に、造形の特徴を100%以上に見せることができるボディーカラーを開発しようということになった」(玉谷氏)。
そこで開発されたのが、「ソウルレッドプレミアムメタリック」だ。赤色はボディーカラーとしては不人気色といわれる。それでもブランドカラーとして赤色を選んだのは、「情熱的でマツダを表現できるのは赤色しかなかった。5%の人にしか選ばれなくてもいいから作ろう、という思いで取り組んだ。深みと鮮やかさを同時に表現できるボディーカラーが完成したと思っている」(同氏)。
街中を見ていてもソウルレッドのマツダ車は目立つ。その理由は「言い方は悪いが、血の色に似ているから」(同氏)だ。「視界に入るとドキッとする、シナプスに直結する色だ。しっかりと落ち着いた色なので、アッパークラスでも違和感なく選んでいただける。結果として、全体で30%近いお客さまがソウルレッドを選択している」(同氏)という。
「どうしても赤色は……」「ソウルレッドはいいけど他の色はどうなの?」という声に応えるのが、「マシーングレープレミアムメタリック」だ。「ソウルレッドで培った技術で表現の幅を広げようとなった時に、まずはグレーに展開することに決めた。プレミアムメタリックは技術的に難易度が高く、何色も並行して開発することができない。1色ずつ取り組んでいる。ボディーカラーには、コンパクトカー専用、セダン向け、といったセグメントが限られる色がある。しかし、赤色、グレー、白色、黒色はセグメントを超えて展開するボディーカラーなので、質感を高めなければならないと考えている」(同氏)。
マシーングレーと従来のメテオグレーとの違いは緻密さだ。パネルを見比べると、メテオグレーはアルミフレークの粒の輝きがちらついてギラギラと見えるが、マシーングレーは滑らかなつやがある。アルミフレークが一定間隔で平滑に並んだ状態を形成しているため、この質感が実現したという。
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