このまま解析を実行すると、計算前に自動でメッシュを切ってくれますが、意図的にメッシュ作成の作業だけをすることも可能です。作成できるメッシュはソリッドのテトラのみのようですが、メッシュの大きさについては、ある程度コントロールできます。ちなみに、今回の計算では、扱いやすさもあり一次要素のみで計算します。
ということで、メッシュが切れたら実行してみましょう。
ちなみに、今回作成した棒は、10mm角の正方形の断面で長さは100mmです。これに、980Nの荷重をかけると、最大の応力の理論値は、588MPaほどになるはずです(お手元の教科書などでご確認ください)。
で、計算してみると……
あれ? 極端に違うというわけではないですが、こんな単純な問題にしては誤差が大きいですね。こんなにシンプルな問題で結構誤差がでていると、もっと難しい問題では、信用に値する計算結果が導き出せるのでしょうか。
「メッシュが粗すぎるんじゃないの?」という声がありそうです。では、もう少し細かくしてみましょうか? 実は、こうすると結果は悪化します。ちなみに、細かすぎるメッシュは、Fusion 360からも事前に警告がでます。
計算は一応できます。ただ、「Adaptive」を推奨するメッセージがでます。でも、Adaptiveにしたらしたで、さらに結果が悪化します。
CAEでの計算に慣れていないと、「理論値と違う!」と頭を悩ませることしばしばです。単純に「σmax=My/I」という式をしげしげと眺めてみても、現実に生じている断面の変形などを一切考えていない、理想化した状態ですね。つまり、立っている土俵が違って、最初の計算では、理論で想定しているモデルよりも、かなりガチガチに止めてしまっていたわけで、答えが違ったのですね。
じゃあ、どうするの? ということですが、「拘束条件を変えてやる」というのがその答えになります。下のエッジは縦方向を完全に固定し、上のエッジはそれをフリーにしてやってもよいですし、中立面では少なくとも完全固定で、後は自由に動くようにしてやってもよいですね。ここでは後者で考えてみます。
今度は、かなり理論値に近い値ですね。なお、どこまでいってもある程度アバウトさを含んだ数値であることは避けられません。
Adaptiveで、さらに近くなりましたね。
あまり考えずに不用意に拘束条件を付けると、こんな簡単なものですら、答えが結構変わっちゃうものですね。
ちなみに実際には、連続体である物体を、ある有限の大きさの塊に区切って、実際の応力の数値は積分点のものであって、通常プリポストではそれを節点に外挿する、ということをしています。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.