5つの事業領域のうち、現在最も大きいのがオフィスサービスだ。複合機によるオフィスプリンティグが中核だが、現在はMCS(Managed Contents Services)やManaged ITといったデジタルワークフローサービスにも事業を拡大している。山名氏は、「オフィスプリンティグについては今後の売り上げの伸びは期待できない。このデジタル時代に、単に複合機を納入し使ってもらうだけのビジネスには限界がある。しかし、複合機をエッジコンピューティングデバイスととらえれば、オフィスで使うイメージ=データの分析によって、スマートワークプレイスを提供するサービス事業を生み出せる」と強調する。
2015年度のオフィスサービス領域の売上高は6350億円だが、2020年度にはオフィスプリンティグの売上高が減少する一方で、デジタルワークフローサービスが伸長、スマートワークプレイスが急拡大し7500億円になる。
商業・産業印刷領域のうち、同社が現在手掛けているのは商業印刷のみだ。これを2016年度から産業印刷にも拡大する。「世界市場規模は商業印刷が39兆円、産業印刷が52兆円。しかしデジタル化率は低く、商業印刷で3.5%、産業印刷で2.7%にすぎない。これをデジタル印刷機器で推進するともに、ワークフローの最適化やクラウド型色管理サービス、データ解析による価値提供によって高付加価値化を図る。さらに、買収したCharterhouse、Ergo、Indicaといったマーケティングサービス企業の力を活用し、デジタルとリアルの融合したマーケティングサービスを展開する。
2015年度の商業・産業印刷領域の売上高は、商業印刷のプロダクションプリンティングや買収したマーケティングサービスを合わせて2400億円となるが、2020年度には商業印刷の高付加価値化、産業印刷への参入、デジタルマーケティングの拡張により3600億円を見込む。
現在のヘルスケア領域は、X線撮影装置や超音波診断装置、医療ITシステムから成る。2015年10月には、PACSやRIS、電子カルテなどの病院情報システムを提供するVIZTEKを買収した。医療ITシステムや病院情報システムは、初期診療であるプライマリーケアの高度化、介護や在宅医療といったケアサポート領域に向けて展開する。
そして、“スーパーレントゲン”とも呼ばれるタルボ・ロー技術を用いた次世代X線診断装置やX線動態解析のような高付加価値X線領域と、創薬や治験支援領域が加わる。2015年度の売上高は850億円だが、2020年度には倍増の1700億円となる見込みだ。
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