サイクル・オブ・ライフは、2009年にルノーのデザイン部門のトップに就いたローレンス・ヴァン・デン・アッカー氏が作り上げたコンセプト。使う人の人生のその時々に合わせたクルマをルノーから提供するというものだ。誰かと恋に落ちて家族を持ち、働きながら余暇も楽しみ、成熟した人生を送る段階まで、ルノーはライフステージを6つに区切る。ルーテシアは、最初のライフステージである恋に落ちる段階「LOVE」に向けたものだ。
ルーテシアはサイクル・オブ・ライフに沿った現行のデザインになってから「輸入車らしい輸入車だと人気が高まった」(フレデリック氏)という。確かに、前後左右どこから見ても滑らかな曲線が目立つデザインは、国内自動車メーカーのコンパクトカーや軽自動車にはあまり見られないように思う。鋭さやいかつさのない柔らかい印象だ。
車体色も女性を引き付けるという。国内で売れたルーテシアは、赤の車体色「ルージュ フラム」が5割を占める。この赤色もサイクル・オブ・ライフに沿ったもので、同コンセプトの試作車両の段階からイメージカラーとして決められた色だ。フランス本国では赤は売れない色でルノーの販売台数の5%程度だったが、ルージュ フラムが出てからは、販売台数の2割に達するなど本国でも人気が高まった。
世の女性は、微妙な色味の違いで何色も発売されている口紅やマニキュアなどから、欲しい色や似合う色を選びだす。クルマに関しても同様で、赤いクルマが欲しいと考えている女性は、自動車メーカー各社の赤を見比べて「ルーテシアのこの色がいい」と決断するのかもしれない。カラーバリエーションの豊富さよりも、自分の好きな色がどんな色味の車体色となっているかが重要である可能性もある。
内装も車体色と合わせた赤で統一できる。今回の一部改良で、シートは座席に座っていてもアクセントカラーが目立つよう配色を変えた。
ルーテシアはかなり外見に気を遣ったクルマで、女性客が食いつくのもうなずける。しかし、女性だけを狙ったモデルではない。「(サイクル・オブ・ライフのコンセプトの恋愛を例に)カップルのどちらが運転しても違和感がないデザインを意識している。可愛らしさを追求しただけのクルマでは、男性だけでなく、落ち着いた嗜好の女性にも受け入れられないからだ」(同氏)。
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