ロボット開発という観点では「ROS(Robot Operating System)」にも注目です。ロボットに必要な要件として「判断」「制御」「駆動」の3つを挙げることができますが、この3つを自作するのはかなりの手間となります。ROSはその手間を軽減するフレームワーク(ライブラリ及びツール群)であり、利用することでロボット開発を効率的に行えます。
Pepperであれば「Choregraphe」という開発環境が用意されているので、ほぼドラッグ&ドロップだけでロボットのプログラミング可能ですが、やりたいことに最適化したハードウェアを設計し、そこに判断や制御などの要素を入れようとすると、ROSのようなフレームワークの導入が現実的となります(連載:ROS Robot Operating System 概論)。
もちろんROSが全てのロボット開発に最適というわけではありませんが、LEGO MindstormやPepper、PLENなど対応する製品は多く、ロボット開発の基礎を学ぶという意味でも、一度は触れてみるべきといえるでしょう。
近年、最も多く家庭に入り込んだロボットの代名詞といえば「ルンバ」シリーズを始めとしたお掃除ロボットでしょう。ルンバの最新作にして最上位モデル「980」の解説も人気でした。
980はルンバシリーズとして始めて「SLAM」(Simultaneous Localization And Mapping:搭載するセンサーでマッピングと自己位置推定を行う技術)を搭載しており、無駄なく効率の良い掃除が行える。SLAMは搭載コストの問題もあり安価な価格設定が求められる家庭用ロボットには搭載されてきませんでしたが、980と同じく2015年に登場したダイソンのお掃除ロボット「360Eye」へも搭載されるなど、徐々に搭載例が増えています(関連記事:ダイソンのロボット掃除機はどんな“景色”を見ているのか)。
ロボットとしての賢さと掃除の能力がイコールになるかは利用する環境によりけりですが、“賢く掃除する”ことへの需要が下がるとは考えにくく、SLAMという技術の搭載ともかくとして、掃除ロボットの高機能化はまだまだ進みそうです。
家庭向けロボットの開発発表でこれほど話題を集めるとは予想外だったのが「laundroid」(ランドロイド)です。ロボットというより、ロボットアームを利用した“全自動洗濯物折り畳み機”ですが、洗濯物の折り畳みを自動化するという「目的」と、2016年の予約開始という「現実味」から、多くの関心を集めました(関連記事:家庭の洗濯物“折り畳み”をロボット技術で自動化、2016年度内に予約開始)。
全自動洗濯物折り畳み機といっても、現時点で折りたためる衣類は、シャツ、タオル、ズボン、スカートの4種類で、完全に洗濯物折り畳みという家事からの開放を意味するものではありません。
ですが、製品投入の予定として、2017年に折り畳み専用機を出荷、2018年に介護福祉施設や病院向けに折り畳みと衣類の分類機能を持った製品を出荷。2019年には洗濯乾燥機に折り畳み機能を組み合わせたオールインワンタイプを出荷、2020年にはスマートハウス向けのビルドインタイプを出荷する計画としています。
2016年に予約受付を開始し、2017年に出荷開始される予定の折り畳み専用機は一般家庭向けとされています。価格は未定ですが、「高級家電として認識される価格帯」での販売が予定されており、超の付く高級マンションでは備え付け家電として装備されるかもしれません。
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