少し意外に思う人もいるかもしれないが、日本はまだ、探査機の惑星周回に成功したことがない。火星を目指した「のぞみ」は、機体のトラブルにより、あともう少しのところで周回を断念。「はやぶさ」初号機のミッションは成功したが、これは惑星ではない。初となるはずのあかつきは、5年前に失敗してしまった。
比較的多くの探査機が訪れている火星でも、次から次へと興味深い新発見が続いている。金星に到着したあかつきからも、きっと驚くような研究成果が得られるはずだ。周回軌道投入というイベントだけでなく、その後についても引き続き注目してもらえればと思う。
なお遠く離れた金星で、あかつき自身の様子を見ることは現実には不可能だが、柏井勇魚氏が開発したWebサービス「Akatsuki VOI Realtime Simulation」を利用すれば、現在のあかつきがどこにいるのか、一目で分かって便利だ。12月7日の朝、あかつきを応援するのに使ってみると良いだろう。
大塚 実(おおつか みのる)
PC・ロボット・宇宙開発などを得意分野とするテクニカルライター。電力会社系システムエンジニアの後、編集者を経てフリーに。最近の主な仕事は「完全図解人工衛星のしくみ事典」「日の丸ロケット進化論」(以上マイナビ)、「人工衛星の“なぜ”を科学する」(アーク出版)、「小惑星探査機「はやぶさ」の超技術」(講談社ブルーバックス)など。宇宙作家クラブに所属。
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