電子機器設計用ツールの大手ベンダーである図研は2015年10月16〜17日にプライベートイベント「ZUKEN Innovation World 2015」を開催。同イベントに登壇した図研 常務取締役 EDA事業部長務める仮屋和浩氏が、同社のソフトウェア開発環境や、品質向上に向けた体制変更などの取り組みについて紹介した。
電子機器設計用ツールの大手ベンダーである図研は2015年10月16〜17日にプライベートイベント「ZUKEN Innovation World 2015」を開催。同イベント登壇した図研 常務取締役 EDA事業部長務める仮屋和浩氏が、同社のソフトウェア開発環境や、品質向上に向けた体制変更などの取り組みについて紹介した。
電気CAD「CR-8000」シリーズをはじめ、エレクトロニクス設計(EDA)に関するさまざまな産業用ソフトウェアを提供している図研。その開発環境はどのように構築しているのだろうか。仮屋氏はまず共通の開発プラットフォームを構築している点を説明。図研のソフトウェア開発拠点は、英国、ドイツ、横浜、米国など複数の国にまたがるが、これらの総勢300人以上のソフトウェア開発エンジニアが同一のプラットフォームで開発できる環境を構築しているという。
図研ではM&Aなどで海外ベンダーなどを買収した場合も、3〜7年程度の時間をかけて同社の共通開発プラットフォームに開発環境を統合する。その理由について仮屋氏は「そこまでやる必要があるのかといわれることもある。しかしさまざまなソフトを異なるUI(ユーザーインタフェース)使うとうのはロスが多いし、それを顧客に提供するのは避けたい。図研では文化の異なる海外のソフトウェアも、時間をかけてでも必ずモジュール化して共通開発プラットフォームに融合するようにしている」と述べる。
仮屋氏は図研の従来のソフトウェア開発体制について「仕様を書き、内部仕様を設計し、インプリメントして各開発はデバッグを追って、最後にマスターに反映するという一般的なソフトウェア開発の流れを踏んでいた」と述べる。
この場合、2000〜3000万行に及ぶソースコードを各開発者がローカル環境でコンパイルするのは難しいため、それぞれが開発成果をマスターに反映し終わってからまとめてコンパイルするという流れになる。
しかし仮屋氏は「この体制だと必ずだれかがミスをするので、コンパイルを通すだけで1週間かかることも多かった。そこからさらに1次、2次、3次とチェックを重ねるため、常に開発期限に追われるような状況であり、品質の向上が難しかった。今だから話せるが、CR-5000の提供を開始した当時は、ソフトウェアの品質が満足に上がらず、多くのユーザーに迷惑を掛けてしまっていた。しかし、モノづくりの設計品質向上に向けたフロントローディングを提案している図研がこれではだめだということで、CR-5000の改良を進めていたころ、根本的に開発体制を見直した」と語る。
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