銀ナノインクを特殊な紙に印刷し、紙上電気回路の応用研究を進める団体が、電気が流れる「DECOTRA」ペーパークラフトを発表した。紙の上でLEDが光り、静電気で車体が動く光景は不思議で面白い。
LEDが取り付けられただけに見える紙でデコトラ(装飾が施されたトラック)を折り、電気を流すと車体がピカピカ光る……という不思議なペーパークラフトが「IGAS 2015(International Graphic Arts Show:国際総合印刷機材展)」で展示された。
発表したのは、銀ナノインクを使った紙上の電子回路の応用研究を行う「紙のエレクトロニクス応用研究会」。光るだけではなく、モーターを使わずに静電気だけで物体を動かすこともできる。
紙のエレクトロニクス応用研究会は、一般企業と大学などの研究機関、クリエイター、デザイナーで構成されている任意団体。今回利用している銀ナノインクを使ったテクノロジーは、同団体に加盟している三菱製紙の技術だ。
「紙を使ったエレクトロニクス自体は新しい技術ではないが、どう市場に発展させるか、どのように利用できるかを年4回集まって議論している。2014年7月から活動しており、『DECOTRA』は現時点での集大成の1つ」(同団体 事務局長の藤平亘氏)
紙上の電圧をコントロールすることで静電気を発生させ、帯電性のある紙をその上に設置すると「動かす」ことも可能になる。残念ながらDECOTRAの販売は予定していない。
紙を基板とすることで、リサイクルが容易にでき、コストも押さえられ、運搬も難しくない。そうした紙のエレクトロニクスならではの製品開発を目指し、展示ディスプレイなどで実利用できるよう研究を進めていくという。
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