スマートエントリーがあれば鍵を開けなくてもクルマに入れる!?いまさら聞けない 電装部品入門(21)(2/4 ページ)

» 2015年09月10日 10時00分 公開

スマートエントリーのシステム構成

 スマートエントリーのシステムは以下のような構成になっています。

  • スマートキー(携帯機、RF信号発信機)
  • 車外LFアンテナ(アウターハンドルなどに内蔵)
  • 車内LFアンテナ
  • 車内RF受信機
  • スマートECU(認証許可)
  • 開錠/施錠/アンサーバック等を駆動する制御ユニット
  • イモビライザユニット(エンジン始動時)
スマートエントリーのシステム構成図 スマートエントリーのシステム構成図(クリックで拡大)

 ここでいうLFとは「Low Frequency(長波)」のことで、スマートエントリーでは125kHz前後の周波数帯が使用されています。RFは「Radio Frequency」のことで、一般的にテレビ放送や携帯電話機、無線LANで使用されているUHF(極超短波)と同じ周波数帯を表し、スマートエントリーでは312.125MHzなどの周波数が使用されています。

スマートエントリーの作動メカニズム例

開錠時(タッチセンサーあり)

 スマートキーを身に付けている状態でアウターハンドルに触れると、アウターハンドルに内蔵されているタッチセンサーが静電容量の変化を認識し、スマートECUに信号を送ります。

 誰かがアウターハンドルに触れたことを認識したスマートECUは、アウターハンドルに内蔵されている車外LFアンテナに信号を送り、LF信号を発信します。

 LF信号を受信したスマートキーは個別に設定された認証信号を含めたRF信号を送信し、車内RFユニットが信号を受信します。

 車内RFユニットが受信した信号が登録されている情報と一致した場合、スマートECUへ開錠OK信号を送信します。

 開錠OKの信号を受けた制御ユニットは、各ドアロックアクチュエーターへ駆動信号を送信してドアを開錠します。また同時にハザードランプを点滅させる駆動信号も送信し、問題無く開錠動作が完了したことを操作者に伝達します。

 個別に設定された認証信号を含めたRF信号を応用することで、高級車などでは心をくすぐる機能が備わっていたりします。

 開錠時やエンジン始動時にスマートキーの保有者を特定し、その人に合わせたドライビングポジションを自動で設定するのです。

 例えばスマートキーの1つを夫が、もう1つを妻が保有していたとすると、それぞれにとって最適なドライビングポジション(シート位置やステアリング位置)は異なります。

 そこで、それぞれのスマートキーが持つ認証信号が異なることを活用し、認証を行った時点でそれぞれのドライバーが設定したドライビングポジションまで自動で動くのです(シートなどが電動であることが必要です)。

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