ラズパイでピザを焼き、段ボールで家作り。市場調査と販売予測を立てない、そんな“作りたいから作った”面白いモノがある。モノ作りを楽しむヒトが集まった、「メイカーズバザール大阪 vol.2」をご紹介。
3Dプリンタやレーザーカッターで自作した作品、電子ガジェット、ギークな手芸、二足歩行ロボなど、オリジナル作品が集まった「メイカーズバザール大阪 vol.2」(2015年6月27日〜28日、大阪南港ATC)。出展コマ数は前回の約2倍になり、スケールアップして開催された。
企業が製品を作るときには、市場調査から始まって販売予測を立てる。購入者がいないものを作っても、ビジネスにはならないからだ。けれども、そんな枠組みにとらわれず、「作りたいから作っちゃった」に面白いモノが多いのも事実。メイカーズバザールの会場に漂っていた自由で明るい雰囲気は、ホンネでモノ作りを楽しむ人たちが集まっているからだろう。
メイカーズというと、大人のデジタル文化祭という印象が強いが、今回は子ども向けのワークショップも開催されていた。英語でロボットプログラムを学ぶワークショップは、事前予約が2日で埋まるほどの人気だったという。
共立電子はモニターとキーボードをつなぐだけでBASICのプログラミングを始められる低価格マイコンボード「IchigoJam(イチゴジャム)のワークショップを実施していた。マイコンボードを使えばいろいろな工作を楽しめるが、「何ができるか」のイメージがつかめてないと、自由な工作にたどり着くことも難しい。
そこでワークショップでは共立電子が販売するIchigojam用の自律走行車ベースキットを用意、接触センサーを使った「壁面自動回避カー」の制作を通じて、手軽にメカトロ・ロボット制御の基礎を学べる機会を提供していた。
BASICなのでプログラムもシンプルだ。前進させるだけならば、
OUT 1,1: OUT 2,0: OUT 3,0; OUT4,1: WAIT 60 END
と記述するだけで、自動回避カーが前進する。手軽なのは間違いない。IF文をやWhile文を使いこなせば、壁に接触したことを接触センサーで検知して方向を変え、室内を止まらずに動き回る「自動回避カー」を自分のプログラミングで生み出せる。
とっかかりがこれだけカンタンだと、初心者でも気負わずにプログラムが始められると感じた。親子で自律カー(ロボットカー)を作って遊べは、子どもに「お父さん、すごい!」と尊敬してもらえるだろう。
今、メイカーズの中でホットな話題といえば、最新OS「Windows 10」の組み込み版として用意され、Raspberry Pi 2でも動作する「Windows 10 IoT Core」だろう。2015年5月にWindows 10 IoT CoreのInside Previewがリリースされ、有志によるRaspberry Pi 2への導入が報告されている。
メイカーズバザール大阪でブースを構えていた「IoTあるじゃん関西支部」でも、Raspberry Pi 2へWindows 10 IoT Coreをインストール、会場で披露していた。
また初日の6月27日は「メイカーズのためのWindows 10 IoT Core + Azure」と題されたセミナーが開催され、日本マイクロソフト大田昌幸氏がIoT領域の世界観やメイカーズにマイクロソフトが提供するツールの全体像を説明した。
Window 10 IoT Coreは単なる組み込み版Windowsではない。Window 10はシリーズ製品のOSでアプリケーション互換性を有するべく設計されており、 Raspberry Pi 2やGalileo 2でWindows 10 IoT Coreが動作するということは、Visual Studioの経験者がマイコン開発に自らの知見を注ぎ込めるという意味を持つ。
次回のメイカーズバザールでは、Windows 10 IoT Coreを利用したどんなガジェットができくるか、とても楽しみだ。
会場には、面白い自作ガジェットがたくさんあった。その中で、筆者のツボにはまったものをセレクトして紹介する。
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