スマートコネクテッドプロダクトの提供企業は、製品が取得するデータを収集・蓄積することができる。そのデータは他社にとっても価値のあるモノでもある。そのため、それを「データビジネスを新規事業としてビジネス化する」ということは検討すべきテーマの1つとなる。
例えば、部品の性能データはサプライヤーにとっては貴重な情報源となるかもしれない。また、車両の走行条件や遅延に関するデータは他の運転者や物流システムの運用者、道路補修チームなどにとっては有益な情報なのかもしれない。
ただし、重要になるのは顧客がその新たなデータビジネスに関してどう反応するかということは注視しなければならない。顧客の反発を受けることがあれば、新規事業どころか既存事業まで危険にさらすことになる。
スマートコネクテッドプロダクトは常にネットワークへの接続があるため、既存の製品分野の在り方を変えるだけでなく、業界領域を変える可能性がある。例えば、関連する製品同士をつないで最適化したシステムなどを構築することが可能になる。
システムの複合体が生まれた場合、事業の範囲をどうするかについて2つの戦略的選択肢が生まれる。1つは「関連製品や、他領域への進出を行うべきかどうか」で、もう1つが「関連製品と情報をつなぐプラットフォームの提供に取り組むべきかどうか」という点だ。しかし、新たな領域への参入には、社内で必要なリソースも変わりリスクが存在する。参入する前に明快な価値提案を見つけ出さなければならない。
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同論文では、IoTおよびスマートコネクテッドプロダクトにおいて企業が「避けるべき失敗」についても要素を定義している。それは以下の4つの点である。
勉強会で同論文の解説を行ったPTCジャパン SLM事業部 バイスプレジデントのアッシャー・ガッバイ(Asher Gabbay)氏は「多くの製品が遅かれ早かれスマートコネクテッドプロダクトになっていく。この流れの中でスマートコネクテッドプロダクトに取り組まないことがリスクとなっており、遅くなればなるほど危険性が高まっているといえる。取り組む上でのリスクは当然あるが、それを避ける意味で考えるべき『10のポイント』を提示している。もはや製造業にとって『取り組まない』という選択肢は残されていない」と述べている。
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