スマートコネクテッドプロダクトが普及する時代においては、新たな価値を創造して競争優位を獲得する上で製品データの扱いが重要になる。しかし、考えておかなければならないのが、これらの「データ」に関連するコストだ。
データ収集にはセンサーが欠かせないが、センサーを機器に組み込むには部材費や設計費などでコストが発生する。またデータの送受信や保管、セキュリティ確保や分析などにも同様にコストが生まれる。データに関連する権利などもあり、これらの処理にもコストが掛かる。これらのコストに対して十分な効果や価値を生み出せるかどうかという点を考慮しなければならない。必要なデータを見極めるには、以下の点を検討すべきだ。
さらに、各種データに関して製品の安定性やセキュリティ、プライバシーを損なう危険性とそれに伴うコストも考えなければならない。これらを考えれば、データを使ったどういうビジネス戦略を取るのかということが非常に重要な要素となることが分かる。
どういう種類のデータを収集・分析するかはその企業のポジショニングや戦略に大きく左右される。例えば「製品性能の優位性で勝負する」や「サービス料金を最低限に抑える」などを戦略として重視している場合は、リアルタイムで活用できる「即効性のあるデータ」を豊富に集める必要がある。これは風力発電機やジェットエンジンのような稼働していない時間がユーザーの負担になるような機器においては有効だと見られる。
どのデータを収集・分析するかが決まったら、データを使う権利をどう確保するか、アクセス権をどう管理するかを決める必要がある。考慮するポイントは「データの帰属先」である。
スマートコネクテッドプロダクトをレンタルするようなビジネスモデルの場合、製品の所有者がメーカーであっても使用状況に関するデータはユーザーに帰属するというような場合もあり得る。例えば、スマートコネクテッドプロダクト化された航空機エンジンを想定した場合、エンジンから送信されるデータについては、エンジンの製造元、機体の製造元、期待を保有・運航する航空会社のそれぞれがデータの所有を主張する権利がある。これらを解決するには、権利や契約の問題をクリアしなければならない。
データについての権利をどう定めるかという点についてはいくつかの選択肢がある。製品データの完全な帰属権を主張する場合もあれば、共有する場合もある。また、利用券についてもNDA(機密保持契約)で定める権利、共有権、販売権など、さまざまな形態が存在する。
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